みすず書房

「勉強家は休み怠ることをおそれ、絶え間なく仕事をしなくてはいけないように考える。効果をあげる継続はむしろ休み休みの継続であるように思われる……休みなき連続は不毛に向かいやすい」
「30年前、ボクが21世紀になったら英文科はなくなると言ったら、暴言だと叱られましたが、その通りになろうとしている」
「われわれは敵を怖れ、憎むが、敵のないのはたいへん危険だということに気づかない。しっかり生きるには強敵が必要である」
「チャールズ・ラムは〈私はバカを愛する〉と書き、これは〈真実の告白である〉と大見得を切った……考えてみるとすこし滑稽な気もする。だれだってバカが好きにきまっている。賢人が好きなのは普通ではなく、人みなバカを愛するのである」

「人の行く裏に道あり花の山」——日常の生活のなかでうっかり見落とされがちな点、いわば人生の盲点を突いて、読者に新しい視角を提供する極上のエッセイ集。

目次

I
日本語の障壁/朝と夜/言文優劣/もらいもの/低温火傷のモラル/間歇的/笑ってよし/抽象・実感/筆舌に尽しがたし/ブレイン・チャイルド/お蚕さん/首尾/ノンブル/消える英文科/求敵主義/仕事は短く人生は長し/ハイブリッドマン/自由・不自由/マターニティ・スクール/忙閑考

II
朝の思想/五体の“散歩”/失敗の効用/読者の立場/1からか0からか/郵便好き/顔写真/納税の意識/縦書き・横書き/ウソの富士山/やさしい歩行者/人はみなバカを愛す/朝飯前/ブタも木にのぼる/転がる石/生活のリズム/笑いには福がある/ことば尻/トリなき里のコウモリ/ゆっくり急げ/作る方が“おいしい”?/無敵は大敵/風のちから

III
応援のプレッシャー/手書きに限る/発見の旅/どうせ読むなら…/日記と予定/五銭のレントゲン/あいさつのこころ/賢明な判断力/“ありがとう”が少ない/想像力の欠如/おしゃべりの効用

IV
子、伸び鈍る一貫教育/科学教育が日本支える/本気でしかれる教師に/この騒音平気ですか/人材失う教育界/入試は学力試験一本に/遊ぶ自由

あとがき

書評情報

江上剛(作家)
朝日新聞2011年2月27日(日)

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