みすず書房

「この本はカフカのノートブックから集めた36の断片の束であり、カフカについてのノートでもある。1990年の批判版全集のテクストにより、ドイツ語原文と日本語のどちらでも上演可能。日本語訳は、パラグラフ、句読点、歌の場合は音節数もできるだけ原文に近づけた」

構成・作曲を手がけた舞台「カフカノート」にむけて書かれたスコア、対訳台本、制作ノートを収録。
カフカはピアニスト高橋悠治をささえる影の思索者。すすみ、停まり、曲がり、途絶えてはまたつづく、その書きかたをなぞるように翻訳されたカフカ。ことばの向こうにカフカの姿が見えてくる。

目次

I カフカノート(スコア)

II 掠れ書き(制作ノート)
「カフカノート」の準備
カフカのことばを歌う
「カフカノート」の作曲
テクストと音楽……遅延装置
「カフカノート」の後に

III カフカ断片(対訳台本)

二冊一対で新聞書評をいただいています

読売新聞では椹木野衣氏、毎日新聞では丸谷才一氏に、いずれも『カフカ/夜の時間』と二冊一対で長文の書評をいただいています。
「残されたものが、既成の小説という型を持たなかったカフカの言葉を受け取るためには、これらの断片から開かれる、また別の終りなき過程に身を置かなければならないのだ」(椹木野衣・「読売新聞」2011年11月28日)
「たとえば彼はカフカの文学の、商業ジャーナリズムを媒介としない前近代的な発表形態、孤独と自由にあこがれる。そしてまた、辺境であるせいでの言語的運命にも。なぜなら、日本こそヨーロッパの辺境の最たるものだから」(丸谷才一・「毎日新聞」2012年1月8日)

書評情報

椹木野衣(美術批評家・多摩美術大学教授)
読売新聞2011年11月28日
丸谷才一
毎日新聞2012年1月8日
レコード芸術
2012年1月号
intoxicate
vol. 95(2011年)

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