みすず書房

私はリズム&ブルースを創った

〈ソウルのゴッドファーザー〉自伝

RHYTHM AND THE BLUES

判型 A5判
頁数 368頁
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-07831-9
Cコード C1073
発行日 2014年5月23日
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私はリズム&ブルースを創った

「音楽業界にはこれまで、優秀なプロデューサー、口八丁の宣伝マン、老獪なビジネスマンならいた。だがそのすべてを兼ね備えていたのはジェリー・ウェクスラーただ一人。誰も彼より上手くはやれなかった」
(『ローリング・ストーン』)
「ウェクスラーは、近代レコード・プロデューサーの役割を定義した者にほかならない。レイ・チャールズやアレサ・フランクリンといったアーティストをなだめすかし、その独創的な見方に普遍的な声を付与させるには、ひとなみ外れた狡猾さが必要だった。ウェクスラー氏が紡ぐ話はじつに興味深い。本書には名声不朽の音楽人たちにまつわる、涎が出そうなほどそそられる逸話が満載だ」
(『ニューヨーク・タイムズ・ブック・レヴュー』)
「読み応え満点。こんなにも活き活きと描かれた音楽史には、めったに出会えない」
(『カーカス・レヴューズ』)

ジョー・ターナー、レイ・チャールズ、ソロモン・バーク、ウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイ、ドクター・ジョン、ウィリー・ネルソン、エタ・ジェームズ、ボブ・ディラン——リズム&ブルースの名付け親として、アトランティック・レコードの経営者として、〈ソウル・ミュージックのゴッドファーザー〉と呼ばれた稀代の名プロデューサーの自伝。
黒人音楽への飽くなき情熱、批評性と大衆性を併せ持った耳、アーティストの才能を見きわめる独特の嗅覚に加え、ウェクスラーはタフでシビアなビジネスマンでもあった。詐欺や賄賂、買収や引き抜きに明けくれる業界のまっただなかで、天使の歌声と悪魔の素顔をもつ幾多のアーティストを切り盛りしてきた。でもまだ業界全体が若々しく、夢と可能性に満ちあふれ、一夜にして奇跡のような成功がもたらされるかもしれない素地があった。そんな黄金時代をになったシンガー、ミュージシャン、プロデューサー、オーナー、プロモーター、スカウトマン、DJたちの生々しい群像を描き出す。20世紀のアメリカ音楽史をめぐる、第一級のドキュメント! ラルフ・J・グリーソン音楽書賞受賞。

目次

その男

遊ぶなら外で遊べ!
窓拭きのブルース
リズムの道
母の接吻
手桶を片手に
奇妙な習慣
起床ラッパ
戦後、沸きかえるニューヨークとビバップ
ディスカーズ、パバーズ、クレファーズ
家族
大西洋の大海原へ
何が黒で赤で青だって?
旅まわり
「おおお、神よ、触らせておくれ、レイ・チャールズに!」
ブラザー、ブラザー
需要、強欲、アラン・フリード
ミスター風紀紊乱と別の星から来た男
「おれはカリフォルニアからヒットを作りにきたんだぜ」
ダーリン
雑貨、外用液、霊薬——根、果実、俗物
大爆発!
オークルームの羅生門
サザン・フライド(南部ふうに揚げて)
ウィキッド
沸きたつ白いロック
仕事中毒
ソウル・メン
「聴いてくれ、この娘を……この娘を!」
裏庭にボート
マイアミの悪行
愉快な日々
傑作と失敗
沼地にどっぷり
「諦める」
2回目
変わりゆくサウンド
じゃあ、元気でな
60本のろうそく
「誰かに尽くさないと」
歌姫の謎
性的癒し
埠頭に腰かけて
また恋に落ちて

謝辞
訳者あとがき
ディスコグラフィ選
索引

書評情報

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ミュージック・マガジン2014年8月号