「みすず書房」ページ内リンク

  1. 「メインメニュー」へ移動
  2. 「みすず書房の本の検索メニュー」へ移動
  3. 「本文」へ移動
  4. 「サイト利用ガイド」へ移動



紅葉する老年

旅人木喰から家出人トルストイまで

著者
武藤洋二

老年期=人生の紅葉期には生がせっぱつまって花開く。命の個性の幅は、常識の幅より広いのだ。
土牢に閉じ込められ、黒パンと水だけで生きたロシヤの宗教者たち。農民の陽気な顔をした仏を彫って歩いた江戸時代の旅僧木喰(もくじき)。「これでも私は学ぶ」と、杖にすがる自画像を描いたゴヤ。レンブラント、ファーブル、田中正造、三浦敬三・雄一郎親子等も登場する。
圧巻は82歳で家出をしたトルストイだ。財産と家を捨て、「いつ死んでもいい」を土台に最後の一週間で自分の仕事をした。「政治への関心は他者の命への関心である」――権力・テロリズム・貧富の差・医療と介護・宗教・反戦論・死刑制度。トルストイの背負った袋には、21世紀が考え抜くべき問題の原石がつまっている。
脳は自分勝手に遊ぶのが好きだ。できるかぎり自分を他者に預けずに人生の後半を進んでいくと、老年は砂漠にならないだろう。
円く老いた木喰と、安らぎを拒否したトルストイと。老年の自治権を独創的に使い尽くし、紅葉人になるための人生の使用法を、ロシヤ文学研究の碩学が追った。


目次


序 宇宙からの贈物

I 人生の紅葉について
第一話 命の個性
第二話 「これでも私は学ぶ」──老人ゴヤ
第三話 レンブラントの二つの顔
第四話 アヴァクームの黒パン
第五話 「年をとってはいけません」──ムスフェルト先生の思い出
第六話 坐ったままで──ファーブル
第七話 浦島太郎の死体
第八話 手作りの翼──三浦父子遠望
第九話 命の円さについて──木喰

II トルストイ八二歳
1 「心の安らぎは精神的卑劣さです」
2 「神はここに、この絞首台に吊るされておられる……」
3 「ほら、人間の姿をした悪魔がいる」
4 「死を希ふことなく、生を求むること勿れ」
5 「ひょっとしたら死ぬ。いいことだ」
6 「地球全体が大きな墓にすぎない」
7 「人にかくすほどの物をばもつべからざるなり」
8 「百姓はこんな死に方をしない」
9 「警察もひざまずけ!」

話の後で


著訳者略歴

武藤洋二
むとう・ようじ

1939年9月30日生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科卒業。大阪外国語大学ヨーロッパ I 講座教授をへて同大学名誉教授。主として帝政ロシヤとソヴェトを拠点にして人間を追っている。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

<2015年10月31日:京都新聞「凡語」>
伊豆倉哲(時事通信社解説委員)
<2015年10月30日:「厚生福祉」(時事通信社)>
五木寛之<2016年1月15日:【日刊】ゲンダイ「正月休みに読んだ本」>
中沢孝夫(福山大学経済学部教授)
<2016年1月15日:「週刊朝日」>

関連リンク

この本の関連書


「紅葉する老年」の画像:

紅葉する老年

「紅葉する老年」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/272頁
定価 4,104円(本体3,800円)
ISBN 978-4-622-07925-5 C0098
2015年9月10日発行

この本を購入する