みすず書房

〈ユダヤ人〉という存在

池内紀の仕事場 2

判型 四六判
頁数 312頁
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-08132-6
Cコード C0395
発行日 2005年9月16日
備考 現在品切
オンラインで購入
〈ユダヤ人〉という存在

「(池内紀の仕事場の最終刊にあたる本巻のタイトルは)ごく自然に思いついた。一冊の書物としてどのような内容になるか見当はつかなかったが、タイトルはこれでなくてはならず、また〈初めて〉の本ができる予感があった」(ノート)。

アウシュヴィッツで虐殺された〈ユダヤ人たち〉はいったいいかなるユダヤ人だったのだろうか? 彼らはユダヤ人の歴史の中でいったいどんな〈存在〉だったのか? ヒトラーの独裁にたいして、彼らはいかに対応・抵抗したのか?

「奇怪な謎というものだ。ナチズムは呪術がモノをいうような未開の後進国でも、旧ソ連のような単一政権による結果でも、基盤の危うい革命のさなかに起きたことでもなかった。私の愛するドイツで自然発生的に生じたこと。解明がつかないにせよ、それが〈ユダヤ人〉存在とかたく結びついていたことはよくわかる」

本巻は、ユダヤ人の存在の〈ありよう〉、またその〈根っこ〉を追尋した刺激的な論考・エッセイから成る。クラウスやベンヤミンやカネッテイをはじめ、無名の詩人や市民にいたるユダヤ人の言動からその〈存在〉が浮かび上がる一巻。

目次

アウシュヴィッツのユダヤ人——序に代えて

I 〈ユダヤ人〉のありかた
ヴェニスの商人/ユダヤ人町/大公の私設顧問/ハイネの謎/ヤーコプの砥石

II 〈ユダヤ人〉であること
キュゼラーク来たる/アメリカの哲人/シレジアの白鳥/ハリウッドの貴族/恋人のつとめ

III ユダヤの智恵
ユダヤの智恵

IV 言葉の力
言葉と戦争/ゴロツキ、出て行け!/言葉とナチズム

V 亡命者たち
亡命の仕方/トゥルノン通り十八番地/眺める人/生きのこること/バルカン特急

仕事場ノート