みすず書房

森のなかのスタジアム 電子書籍あり

新国立競技場暴走を考える

判型 四六判
頁数 288頁
定価 2,640円 (本体:2,400円)
ISBN 978-4-622-07949-1
Cコード C0036
発行日 2015年9月25日
電子書籍配信開始日 2015年10月1日
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森のなかのスタジアム

2011年2月の「ラグビー議連」による決議に始まり、2012年11月の国際デザイン・コンクールによるザハ・ハディド案決定、2013年9月の2020東京オリンピック決定をへて今日まで、新国立競技場建設の迷走はつづいている。
問題は建設費用や維持費、工期などコストや時間の問題だけではない。建築のあり方、神宮外苑という場での環境、景観、住民問題など、IOCの「アジェンダ21」を無視し、建築関係者など多くの専門家の意見や市民の反対にもかかわらず、新国立競技場建設計画は突き進められていった。数々の記憶のつまった前の国立競技場が解体され、神宮外苑の木々も伐採された今になって、安保法案がらみの政治判断もあり、2015年7月17日、安倍首相によって「現行の新国立競技場建設プラン」は白紙撤回になった。しかし、これから事態がどのように進んでいくか、まったく見えてこない。
「いらないものは作らせない。大事なものは残す」。本書は、当初よりこの問題に取り組んできた著者および「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の2年間の活動記録を中心に描いたものである。槇文彦はじめ建築関係者との協力、JSC(日本スポーツ振興センター)とのやりとり、東京都や地域住民との接触など、事の始まりから現在、そして未来まで、この暴挙の全貌と課題がここに明らかになるだろう。巻末には関連年表など貴重な資料を付した。
「これは政治運動ではない。あくまで、知られないうちに決まってしまった公共工事が環境を破壊し、次世代へのツケとなるのを防ぐための市民として当然の活動なのだ」

目次

1 新国立競技場をここに建てていいのか
2 神宮外苑を歩く
3 長い長い2013年11月25日
4 気持ちよく、いつまでもここにいたい景観とは?
5 後追いの規制緩和、近隣住民の不安
6 ホワイト・エレファント——使われない厄介者にしないために
7 移転させられる人たち
8 語り出したスポーツ関係者
9 どうやって規制を外したのか?
10 環境アセスと久米設計の改修案をめぐって
11 基本設計発表 反対のメッセージ
12 環境問題、とくにヒートアイランド
13 入札不調と都の所有地
14 自民党無駄撲滅プロジェクトチーム
15 キラキラ外苑ウォーク

私たちも驚いた白紙撤回——あとがきに代えて
参考文献

資料篇
1 要望書等リスト
2 国際デザイン競技に関する公開質問状およびJSCからの回答書
3 新競技場に関する公開質問状
4 国立競技場を壊したくない10の理由
5 解体と樹木伐採への抗議声明
6 現行案に対する緊急市民提言
7 関連年表

書評情報

藤島大(スポーツジャーナリスト)
北海道新聞2015年11月8日
山口文憲(ノンフィクション作家・エッセイスト)
信濃毎日新聞2015年11月8日(日)
社会新報
2015年11月11日
渡邊
婦人公論2015年11月24日
鎌田彗(ルポライター)
週刊朝日2015年11月27日
進士五十八(東京農業大学名誉教授)
LANDSCAPE DESIGN105(2011年11月)
小林和子(編集部)
週刊金曜日2016年1月8日

関連リンク