みすず書房

「一寸若い叔母さんという感じがありました」(戸川秋骨)
「寂しがっておられるところへ行き合わせたりすると、涙を出さんばかりに喜ばれた」(疋田達子)

1896(明治29)年、25歳で逝った樋口一葉(奈津)。素顔を知る家族や友人、交流のあった、または不意にその姿を目撃した同時代の文学者らが思い出を綴り、語るポルトレ(肖像)集。
ときに拗ね者、ときに寂しがり、ときに恋する女文士一葉、あるいはひとりの女性「なっちゃん」。明治の青春がいま鮮やかに甦る。
(本書に登場する人々)薄田泣菫、戸川秋骨、岡野知十、疋田達子、平田禿木、星野天知、馬場孤蝶、三宅花圃、半井桃水、島崎藤村、幸田露伴、田辺夏子、樋口くに。

目次

薄田泣菫
 「たけくらべ」の作者

戸川秋骨
 若い叔母さん

岡野知十
 一度見た事のある一葉女

疋田達子
 樋口一葉 生活苦を越えて一筋の道を生きたお夏さん

平田禿木
 緑雨・一葉・鷗外邸
 一葉の思い出

星野天知
 文学界と一葉女史

馬場孤蝶
 一葉全集の末に
 大音寺前
 「にごりえ」の作者

三宅花圃
 女文豪が活躍の面影(一葉女史が事ども)

半井桃水
 一葉女史の日記に就て

島崎藤村
 一葉女史に就いて

幸田露伴
 故樋口一葉女史
 
田辺夏子
 わが友樋口一葉のこと

樋口邦子
 姉のことども

一葉とは誰か  小池昌代
樋口一葉年譜

書評情報

池内紀
毎日新聞2012年8月5日(日)
東京新聞
2012年8月7日(火)
長谷川 宏 (哲学者)
婦人之友2013年3月号

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