みすず書房

ノーベル文学賞に輝く名宰相の一大戦史、74年ぶりの全面新訳スタート!

2023年8月10日・第1巻刊行(~2028年 毎夏1巻ずつ刊行予定)

第2巻は2024年夏の刊行予定。以降1巻ずつ毎夏に刊行

 

「この時代に生き、行動したひとりとして、第二次世界大戦の悲劇は容易に避けられたはずだということを示すのが、私の目的なのだ」

 

  • ノーベル賞をもたらしたオリジナル版からの74年ぶりの全面新訳(補遺、図表、地図含む)

  • 訳者は軍事・現代史で定評のある伏見威蕃氏

  • 原著全六巻をあますところなく読めるシリーズ刊行開始

新着情報

2023.8.22 産経新聞で紹介されました
2023.8.10 『第二次世界大戦』特設サイトを開設しました
2023.8.10 第1巻「湧き起こる戦雲」刊行

第1巻 湧き起こる戦雲

Volume 1, The Gathering Storm

この時代に生き、行動したひとりとして、第二次世界大戦の悲劇は容易に避けられたはずだということを示すのが、私の目的なのだ。善人の弱さによって佞悪なやからの敵意が強化された。民主的な国々の構造と体質は、より大きな機構によって結合されないと、粘り強さと信念という要素に欠けていた。それがあれば、一般大衆に安全保障を提供できていたはずだった。たとえ自己防衛のためでも、一〇年か一五年つづけられた政策はひとつもなかった。慎重で節度のある助言が、生死に関わる危険の主因になりうることを、私たちは悟らなければならない。安穏な暮らしを望んで中道を歩むと、一直線に災難に跳び込むおそれがある。数多くの国が、国家政策の潮流とは無関係に共同で幅広い国際的な行動を起こすことが不可欠なのだと、私たちは悟らなければならない。
(「第1章 戦勝国のたび重なる愚行」より)

目次

拙著の訓言
謝辞
『第二次世界大戦』について(ジョン・キーガン)
著者序文
新版への付記
本巻の主題

第1編 戦争から戦争へ 1919-1939年

第1章 戦勝国のたび重なる愚行 1919-1929年
第2章 平和の絶頂期 1922-1931年
第3章 隠れ潜む数々の危険
第4章 アドルフ・ヒトラー
第5章 蝗に食い荒らされた年月 1931-1935年
第6章 昏くなる舞台 1934年
第7章 航空戦力の均等消失 1934-1935年
第8章 反抗と対応 1935年
第9章 空と海の難問 1935-1939年
第10章 イタリア制裁 1935年
第11章 ヒトラー、攻勢に出る 1936年
第12章 危険をはらんだ休止、スペイン 1936-1937年
第13章 軍備を固めたドイツ 1936-1938年
第14章 イーデン外相とその辞任の経緯
第15章 オーストリア凌辱 1938年2月
第16章 チェコスロヴァキア
第17章 ミュンヘンの悲劇的局面
第18章 ミュンヘンの冬
第19章 プラハ、アルバニア、ポーランドの保障 1939年1-4月
第20章 ソ連の不可解さ
第21章 開戦間際

第2編 不分明な戦争(トゥワイライト・ウォー) 1939年9月3日-1940年5月10日

第22章 戦争
第23章 海軍本部の責務
第24章 ポーランド滅亡
第25章 戦時内閣の問題点
第26章 フランスの陣頭
第27章 戦闘激化
第28章 磁気機雷 1939年11-12月
第29章 ラプラタ沖海戦
第30章 スカンディナヴィア、フィンランド
第31章 暗澹たる新年
第32章 嵐の前 1940年3月
第33章 海上での衝突 1940年4月
第34章 ナルヴィク
第35章 トロンヘイム
第36章 ノルウェーでの挫折
第37章 ノルウェー:終盤
第38章 チェンバレン内閣が倒れる

補遺
I 各種資料
A グランディ伯爵との非公式会談 1935年9月28日
B 艦隊航空隊に関する意見書 1936年
C 補給組織に関する意見書 1936年6月6日
D 両院の保守党代表団とボールドウィン首相との会談における私の陳述 1936年7月28日
E 一線級航空機の生産数比較
F 海軍兵力表 1939年9月3日
G “キャサリン”計画 1939年9月12日公式覚書
H 新建艦と配置換え 1939年10月8日及び21日
I 新建艦計画 1939-40年
J 艦隊基地 1939年11月1日
K 海軍のトルコ支援 1939年11月1日
L 灯火管制 1939年11月20日
M 磁気機雷 1939-40年
N U-47の戦時日誌からの抜粋 1939年11月28日
O 耕耘機第6号
P 敵の軍事行動で損耗した英商船 1939年9月から40年4月まで
Q “英海兵隊”作戦 1940年3月4日
R ノルウェー作戦における英独艦の損耗 1940年4-6月

II 海軍卿覚書(承認・進言)

訳者あとがき
人名索引

地図・図表

1921年 ヨーロッパ──ヴェルサイユ条約後
1936-39年 ヒトラーの侵略の推移
スカパ
1939年9月1日 ドイツ軍とポーランド軍の部隊集結
9月13日 内側挟撃の鉤爪が狭まる
9月17日 外側挟撃の鉤爪が狭まる ソ連軍の進撃
スヘルデ線とムーズ─アントウェルペン線の予定戦線図
スカパ・フロー 戦艦〈ロイヤル・オーク〉沈没
ラプラタ沖における独艦〈グラーフ・シュペー〉との海戦経過図
南大西洋掃討部隊群
1939年12月 ソ連のフィンランド攻撃
1940年3月 マンネルヘイム線突破
1940年 ノルウェー
ナルヴィク作戦概要図

続刊予定

第2巻 彼らの最良のときTheir Finest Hour)  2024年夏
第3巻 大同盟The Grand Alliance)  2025年夏
第4巻 運命の枢機The Hinge of Fate)  2026年夏
第5巻 攻略の拡大Closing the Ring)  2027年夏
第6巻 凱旋と惨禍Triumph and Tragedy)  2028年夏=完結
(副書名は仮、刊行時期は予定です)

[完訳版]第二次世界大戦 1

湧き起こる戦雲

著者:ウィンストン・チャーチル /序説:ジョン・キーガン/訳者:伏見威蕃

書誌情報ページはこちら 

判型 四六判
頁数 912頁
定価 6,050円 (本体:5,500円)
ISBN 978-4-622-09631-3
Cコード C1022
刊行日 2023年8月10日
ジャンル 世界史・現代史/国際政治

 

推薦・レビュー

国家的危機を乗り越えた賢慮型リーダーの真髄―直観力、実行力、言葉の力―を徹底的に体感できる至高の教科書。
――野中郁次郎(一橋大学名誉教授・経営学)

ノーベル文学賞受賞のノンフィクション大傑作。時機の到来を待ち、確実に勝利をもたらす『科学的思考』がここにある。
――鎌田浩毅(京都大学名誉教授・地球科学)

書評・紹介情報

産経新聞で紹介されました
「チャーチルの大著「第二次世界大戦」、74年ぶり全面新訳」
2023年8月23日

試し読み!

第1巻「湧き起こる戦雲」から、著者による「序文」全文と、本文の一部を特別公開いたします

新刊紹介

担当編集者による紹介記事です