みすず書房

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『サラエボで、ゴドーを待ちながら』

エッセイ集2/写真・演劇・文学
スーザン・ソンタグ 富山太佳夫訳 [全2巻完結]

ソンタグの『書くこと、ロラン・バルトについて』(エッセイ集1)が出てからだいぶ間があいてしまいましたが、ようやくその続編『サラエボで、ゴドーを待ちながら』(エッセイ集2)を刊行することができました。お待たせしました。

この二冊はもともとは一冊の本で、原題は『どこに、力を』Where the Stress Fallsという、ちょっと分かりにくいものでした。これはアメリカの作家グレンウェイ・ウエスコットを扱ったエッセイから取られました。この長いエッセイは面白いものですが、残念ながらこの作家は日本ではほとんど知られていません。定番のヘミングウェイやフォークナーではなく、こうしたマイナーな(?)作家を論ずるところはいかにもソンタグという感じでありますが。

ロラン・バルトは若いときにサナトリウムに入っていたように、書くものは元気がいいのですが、生活の姿勢はどちらかといえば静かな書斎派でしょう。それに比べて、ソンタグは戦時下のサラエボでベケットの『ゴドーを待ちながら』の演出を敢行するなど、どう見ても行動的な批評家です。

テクストを読むのが冒険である〈静〉のバルト、かれのファンでもある〈行動〉のソンタグ。この二冊のエッセイ集はこれら二つの世界を見せてくれるはずです。ボルヘスからメイプルソープまで、華のある行動的な批評家ソンタグの軌跡をご覧ください。

◇《始まりの本》最新刊 『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』

病いにまといつく言葉の暴力を浮き彫りに。スーザン・ソンタグ円熟期の透徹した文化批評。ロングセラー『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』を、シリーズ《始まりの本》の一冊として刊行します。改版にあたって新たに、訳者あとがき「《始まりの本》版によせて」を加えました。




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