1932–1982。9月25日トロント生まれ。ピアニスト・思想家。幼少より楽才を示し、トロント音楽院(現ロイヤル音楽院)に学ぶ。作曲家を志すが、むしろピアニストとして十代よりカナダで認められる。1947年トロント交響楽団と初共演、1950年CBC(カナダ放送協会)で初のラジオ・リサイタル。1955年、22歳で米国デビュー。翌年発売した《ゴルトベルク変奏曲》のアルバムで従来のバッハ解釈を刷新し、話題を呼ぶ。57年にソ連や欧州への演奏旅行に成功。独自の選曲と無比の解釈で名声を高めていくが、64年のリサイタルを最後に舞台から退き、以後はレコードと放送番組のみで演奏活動。音楽論やメディア論をめぐる文筆も行ない、新しい音楽作品を意図した「対位法的ラジオ・ドキュメンタリー」の制作も手がける。終生トロントに暮らす。《ゴルトベルク変奏曲》再録音(81年)発売直後の82年10月4日脳卒中にて急逝。マーシャル・マクルーハン、ノースロップ・フライと並んで、カナダを代表する知識人であり、死後も日本を含めた各国での人気は根強く、録音・映像・著作の紹介や学術研究が続いている。
グレン・グールド
Glenn Gould