
みすず書房は終戦の年、1945年の冬にその第一歩を踏み出しました。
「みすず・刈る」は、信濃の荒野に生い茂る篠竹のすがたを見て、まだ文字もなかった頃の上代人が、思わず感動の歌ごえを唇にのぼせたもので、『万葉集』という歌の宝庫におさめられ、一千年ののちの私たちに、ふるくそして新しい響きをつたえております。この荒野に立つ人間の形姿は、「物」を「文」に化そうとする出版事業のシンボルとして、ふさわしく思われたのです。
創業出版は片山敏彦著『詩心の風光』。以来、半世紀をこえ、発行書数は5000点を超えました。『ロマン・ロラン全集』全43巻、『現代史資料』全45巻などのほか、個々の単行本は、人文科学・社会科学・自然科学・文学・芸術など、ほぼ文化の全領域にわたっております。