1914-2007。フランスのプロヴァンに生まれる。地方新聞の編集長だった父は志願兵として第一次世界大戦で戦死、母も8歳で失う。ソルボンヌ大学に入学、共産党青年団に加盟し、第二次世界大戦中はレジスタンスに参加、内地フランス軍の指揮を執る。48年から国立科学研究所研究員、社会科学高等研究院をへて、75-84年、コレージュ・ド・フランス教授。専攻はギリシア神話および思想史。邦訳された著書に『ギリシャ思想の起源』(原書 1962、みすず書房、1970)『ギリシア人の神話と思想──歴史心理学研究』(1965、国文社、2012〉『プロメテウスとオイディプス──ギリシァ的人間観の構造』(1974年の来日講演集、みすず書房、1978)『眼の中の死──古代ギリシアにおける他者の像』(1985、法政大学出版局、1993)『形象・偶像・仮面――コレージュ・ド・フランス 宗教人類学講義』(1990、みすず書房、2024)。
クロード・レヴィ=ストロースが『野生の思考』で展開した「宗教形象」の分析手法をヴェルナンは古代ギリシア文化に適用した。その考察の厳密さには幾何学を想わせる明晰性があると評せられた。