みすず書房

エリック・ホッファー

Eric Hoffer

1902-1983。ドイツ移民の子として、ニューヨークに生まれる。7歳のときに母親が他界、同じ年、突然視力を奪われる。盲目生活8年の後、突然に視力が回復、過去を取り戻すかのように読書に没頭、「一日10時間、いや12時間も本を読んでいた」。1920年、父親と死別、カリフォルニアにわたり職を転々とするなか、1934年、失業独身者を収容する連邦キャンプで、自分をふくめ社会に適応しえぬ人間を発見、思索を深める契機をつかむ。1936年、モンテーニュ『エセー』との偶然の出会いが彼に文章を書くきっかけを与え、1938年、ミスフィット(社会不適応者)のことをまとめた「好ましからざる者たち」を雑誌に投稿。以後、「自由と運動と閑暇と収入とがこれほど適度に調和した職業はない」という港湾の荷役仕事を続けながら、読書と大衆運動についての思索を重ねた。
邦訳書に『大衆〔のち『大衆運動』に改題〕』(高根正昭訳、紀伊國屋書店、1961)『変化という試練』(田崎淑子・露木栄子訳、大和書房、1965)『波止場日記』(田中淳訳、みすず書房、旧版1971、《始まりの本》版2014)『現代という時代の気質』(柄谷行人・柄谷真佐子訳、晶文社、1972)『初めのこと今のこと〔のち『エリック・ホッファーの人間とは何か』に改題〕(田中淳訳、河出書房新社、1972)『エリック・ホッファー自伝』(中本義彦訳、作品社、2002)『魂の錬金術』(同、2003)『安息日の前に』(同、2004)がある。