みすず書房

イザベラ・ハンマード

パレスチナ系英国人の作家。1991年、ロンドン生まれ。母はアイルランド系英国人、父はナブルス出身でレバノン生まれのパレスチナ人。オクスフォード大学で学び、ニューヨーク大学でクリエイティヴ・ライティングの修士号を取得。2018年、短篇小説 Mr. Can’aan でO・ヘンリー賞受賞。長篇小説第一作のThe Parisian (2019)(第一次世界大戦中、南仏に留学し、大戦後、英国の植民地支配下のパレスチナに戻った曽祖父を主人公に、戦間期のパレスチナを描いた歴史小説)はスー・カウフマン新人賞ほかを受賞。長篇二作目のEnter Ghost (2023)(イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区で、パレスチナ人俳優らと『ハムレット』に出演することになったパレスチナ系英国人女優を通して、ディアスポラと軍事占領下とイスラエル領それぞれに分断されて生きるパレスチナ人のアイデンティティと闘いを描く)は、王立文学協会アンコール賞ほかを受賞。2023年、英国の文芸誌Grantaが10年ごとに主催する「英国若手小説家ベスト20」に選出される。三作目の長篇小説は、1955年のバンドン会議が舞台となる予定。邦訳書に『見知らぬ人を認識する――パレスチナと語りについて』(原書2024年刊、岡真理訳・解説、みすず書房、2025)。