みすず書房

阮義忠

げん・ぎちゅう/Juan I-Jong

1950年、台湾宜蘭県生まれ。写真家。1972年漢聲雑誌社に入社、写真家としての歩みを始める。英語版『漢聲 ECHO』の制作に携わったのち、1975年に雑誌『家庭月刊』に移籍、台湾の土地に根ざした写真ルポルタージュを手がける。1981年からは台湾電視公司のドキュメンタリー番組『映象の旅』の制作に携わり、台湾で広く知られるようになる。自身の創作のかたわら、写真教育にも積極的に取り組み、1987年阮義忠暗房工作室を設立。ここを拠点として教育・普及活動を行うほか、1988年からは国立芸術学院(現・台北芸術大学)でも教鞭を執った。1990年に撮影家出版社を設立、中英バイリンガルの写真批評誌『撮影家 PHOTOGRAPHERS International』を創刊し、世界と中華圏の写真界をつなぐ役割を果たした(2004年終刊)。2008年、故郷・宜蘭に「阮義忠台湾故事館」を設立。2016年には写真賞「阮義忠撮影人文賞」を創設した。
写真集に『北埔』『八尺門』(1985)、『人與土地』(1987)、『台北謠言』(1989)、『四季』(1990)ほか多数。中華圏をはじめ、フランス、アメリカなどでも個展を開催し、その作品はパリ市立近代美術館のコレクションにも収蔵されている。写文集に『人與土地』(2012、『人と土地』栖来ひかり訳、みすず書房)『台北謠言』(2012)、『失楽的優雅』『都市速寫簿』(2013)、『正方形的郷愁』(2014)などがあるほか、『当代撮影大師』(1985)および『当代撮影新鋭』(1987)は写真批評・作家論の基本文献として中華圏で広く受容されている。人文主義的なまなざしで台湾の民間の生活文化を記録してきたことが評価され、2007年に東元賞(人文部門)を受賞。2013年には中華圏の写真文化への寄与が認められ、全球華人伝媒大賞「撮影文化貢献賞」を受賞。2024年、台湾の文化界で最高栄誉とされる行政院文化賞を受賞した。