みすず書房

本江邦夫

もとえ・くにお

1948-2019。美術史家。多摩美術大学名誉教授。愛媛県松山市に生まれ、東京で小学校に上がるが、中学2年の夏まで札幌と小樽ですごす。76年、東京大学人文系大学院修士課程(西洋美術史専攻)修了。同年秋より、東京国立近代美術館に勤務。「マチス」(1981年)、「ピカソ」(83年)、「ゴーギャン」(87年)、「ルドン」(89年)、「木村忠太」(94年)などの本格的な回顧展を手がける一方で、「メタファーとシンボル」(84年)を皮切りに「手塚治虫」(90年)、「形象のはざまに」(92年)、「黒田アキ」(93年)、「辰野登恵子」(95年)などの現代的な企画に関与するが、20年におよぶ美術館員としての活動に限界を感じ、98年春、多摩美術大学共通教育学科教授として学園生活に新たなる活路を求める。2001年春より、府中市美術館館長を兼任(嘱託)。主要な著書として、『ポール・ゴーガン』(千趣会、1978年)、『オディロン・ルドン[世界の素描]』(講談社、78年)、『マチス/ブラック[世界版画美術全集]』(講談社、81年、共著)、『ゴーギャン[アート・ギャラリー]』(集英社、86年)、『ポール・ゴーギャン:《ノア・ノア》連作全版画と周辺』(伽藍洞ギャラリー、87年)、『Toeko Tatsuno Paintings』(Fabian Carlsson Gallery, London,1987)、『ゴーギャン[朝日美術館]』(朝日新聞社、92年、編著)、『○△□の美しさって何?——20世紀美術の発見』(ポプラ社、93年)、『キュビスムと抽象美術[世界美術全集]』(小学館、96年、共・編著)、『絵画の行方』(スカイドア、99年)、『オディロン・ルドン——光を孕む種子』(みすず書房、2003年、第54回芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『中・高校生のための現代美術入門』(『〇△□の美しさって何?』を増補改題、平凡社ライブラリー、2003年)があり、主要な翻訳として、アルフレッド・ヴェルナー『スーチン』(美術出版社、1978年)、H. シュラーデ『ドイツ・ロマン派の絵画』(美術出版社、80年)、ロズリーヌ・バクー『オディロン・ルドン——パステル画』(美術出版社、88年)、コンスタンス・ノベール=ライザー『クレー』(岩波書店、94年)がある。