みすず書房

ネラ・ラーセン

ハーレム・ルネサンス期を代表するアフリカ系アメリカ人女性作家。1891年シカゴに生まれる。母はデンマーク出身(白人)、父は西インド諸島出身(黒人)。幼少時の1895-98年、デンマークに滞在。1908年テネシー州のフィスク大学附属師範学校に入学するが、一学年で退学となる。1908-12年ふたたびデンマークに滞在。帰国後、リンカーン病院附属看護学校に入学、15年看護師免許を取得。19年、物理学者エルマー・S・アイムズと結婚、翌年夫妻はハーレムに転居。その後ニューヨーク公立図書館分館で働き、合衆国で正式に図書館学を修めた最初のアフリカ系アメリカ人となる。26年短編小説「人違い」と「自由」を雑誌に発表。28年長編小説『流砂にのまれて』、29年『パッシング』を発表し、高い評価を得た。30年発表した短編小説「サンクチュアリ」に剽窃疑惑が持ち上がるなか、文学上の業績により黒人女性として初めてグッゲンハイム奨学金を授与され、32年1月までヨーロッパに滞在。その間に長編第三作『蜃気楼』を執筆したが、出版されることはなく、原稿も現存しない。33年離婚。ハーレムを去ったのちは、63年に退職するまで病院で看護師として働き、64年、25年間住んだアパートでひとり世を去った。享年72。