みすず書房

ポール・J・スタインハート

Paul J. Steinhardt

1952年生まれ。現在はプリンストン大学アルベルト・アインシュタイン記念教授として物理学部門と天体物理学部門の両方に所属。おもな専門は宇宙論、物性論。プリンストン理論科学センターの創設者であり、そのディレクターも長年務めた(2007-2019)。1980年代に宇宙のインフレーション理論を最初期に開拓したことで著名であり、その功績により、アラン・グース、アンドレイ・リンデとともに2002年のICTPディラック賞を受賞している。インフレーションのほかにも、サイクリック宇宙をはじめとする宇宙モデル、宇宙背景放射、重力波、ダークエネルギーなどをめぐる先駆的理論研究を次々に手掛けた。凝縮系物理学においてはThe Second Kind of Impossible: The Extraordinary Quest for a New Form of Matter (Simon & Schuster, 2019)〔『「第二の不可能」を追え!』(斉藤隆央訳、みすず書房、2020)〕で語られている準結晶の研究で大きな功績があるほか、種々のフォトニック材料の理論研究も進めている。一般向けの著書として上掲書のほかに、Endless Universe:Beyond the Big Bang (Broadway Books 2007)〔『サイクリック宇宙論──ビッグバン・モデルを超える究極の理論』(ニール・トゥロックとの共著、水谷淳訳、早川書房、2010)〕がある。編著書に、準結晶に関する専門的な解説をまとめたQuasicrystals: The State of the Art (World Scientific, 1st ed. 1991, 2nd ed. 1999)があるほか、準結晶に関する初期の主要な論文を集成したThe Physics of Quasicrystals (World Scientific, 1987)がある。