みすず書房

何のための教師

POURQUOI DES PROFESSEURS?

判型 四六判
定価 3,080円 (本体:2,800円)
ISBN 978-4-622-00429-5
Cコード C0037
発行日 1972年12月5日
備考 現在品切
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何のための教師

日・米、それにヨーロッパのかなりの大学や高校での学園紛争では教師の存在理由が大きな問題となった。著者が本書で触れているような、真の教師とは自らの弟子の中に弟子として学ぶ態度をもてる者という教師像がもっと確立していたならば、学園騒動もあるいは様相が変わったかもしれない。
著者にとって、教育の本来の意義は人格の教化にある。教育とは人間教育であり、学校教育の使命である。それを行う場が学校である。知識を教え授けるという意味の教育は本来の教育の一つの方法であり一つの手段である。ここに、学校の先生が授業で知識を伝えることを職業とする教員にとどまらず、教師という性格をもたざるをえない所以がある。〈教師は教え授けるが、しかし教え授けるものとは別のものを授ける。〉この、知識を超えた別のものを伝え、育むところに教育の本質があり、使命がある。著者の教育・教師論は、古今の優れた思想家における師弟関係、教育論を論述し、日本の禅宗の教育法に学ぶ論旨もある。
著者は1933年高等師範学校に入学、ここでメルロ=ポンティを知った。戦時の捕虜生活は、彼の実存哲学的方向をもつ人間学の確立に作用している。49年以降ストラスブール大学の教授である。