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カニバリスムの秩序

生とは何か/死とは何か

L’ORDRE CANNIBALE

Vie et mort de la medecine


カニバリスムは、未開社会の人喰いを指す言葉で、カリブ海のカリブ族の風習に由来している。悪と病いと死を祓い、治癒を願う儀礼であり、コロンブスがヨーロッパ世界に伝えたといわれ、野蛮の同義語とされてきた。
しかしながら、キリスト教世界にみるパンとブドー酒による聖餐は、同じカニバリスムの隠喩といえるのではないか。「イエス言ひ給ふ『まことに誠に汝らに告ぐ、人の子の肉を食はず、その血を飲まずば、汝らに生命なし。わが肉をくらひ、我が血をのむ者は、永遠の生命をもつ、われ終の日にこれを甦へらすべし』(ヨハネ伝6:53-54)。
かつては死者=他者を喰い、生を回復したという人類。そして現代の臓器パンク、試験管ベイビー、プロテーズなど、いずれもカニバリスムの進化の極点ではないか。ここでは生と死とは、身体の消費過程とされてしまった。隠喩はもはや隠喩ではない。ロボット的生か、人間的死か? 新たな野蛮と新たなカニパリスムの告知であろう。
この書は、〈カニパリスム〉の一語を戦略としつつ、神々の時代からコードの時代までを、三つの危機・四つの時代として分析・記述する試みである。フーコー、アリエスらの業績に、民族学的調査や情報が充分に吸収・駆使されて、現代の一面が鋭く析出されるとともに、著者アタリの歴史的構想力は、きわめて喚起的であろう。


目次


生のシーニュ

I 神々のシーニュ
カニバリスムの秩序
神としての人間/生きるために死者を食べる/カニバリスムの渇望
供儀の秩序
殺さずに食べる――カニバリスムと性/《神々》と《悪》/監視者、告発者、調停者、そして隔離者
キリスト教
キリスト教的カニバリスム/治療司祭――治癒と改宗の交換/奉納と赦し
神々の危機
治療者としての教会の終焉/神々と体/神々への供儀から体の隔離へ

II 体のシーニュ
罪体
体の病気/罪体/治療者=警官/治安的慈善――監視と告発/罪体の隔離――検疫隔離、衛生、病院
権力体
体の経済/医者、外科医、床屋医者/宮廷・戦場・警察の治療者/体のお金
体の危険
《体の秩序》、子供の命/労働者の保護/警官から医師へ/解体した《体の秩序》

III 機械のシーニュ
機械の誕生
世紀病/《機械》としての体/平均寿命/《機械》、《体》そして《神々》/すでに人工補綴
医学的交換――病のない自由主義という夢
《機械》修理師の生産/監視と告発/機械の潔癖症――病原の隔離/自由主義的医学のユートピア――舞台を空にする/《慈善》、《福祉》、《保険》/《機械の国家》――生命に保険をかける
《機械の秩序》の見世物
機械の厄病祓い――私的、ないし公的保険/見世物の役者たち/医療=産業複合体/資本主義とカニバリスム/機械の絶対的秩序
機械の危険
失敗による利益/機械の見世物の可能性/《秩序》による死/上演による死/医師の死
IV コードのシーニュ
コピーの誕生
治療者に対する超監視/観客に対する超監視/正常な生の型――コピーされるべき生/コピーの世界化/自律告発に向けて
自律監視と自律告発――身体の鏡
正常なものという鏡/新たな《悪》の誕生――《コード》の雑音/《機械》の危機の彼方に/マトリサー、アンプランター/セパラター
カニバリスムの商品
コードと言語/物としての生の治療/《コード》の生と死/カニバリスムの商品
訳者あとがき・文献一覧


著訳者略歴

ジャック・アタリ
Jacques Attali

1943年アルジェに生まれる。1956年アルジェリア戦争勃発と共にパリに移る。理工科学校、パリ政治学院、鉱山大学校、国立行政学院といったフランスのエリート校を卒業。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
金塚貞文
かねづか・さだふみ

1947年東京に生まれる。早稲田大学文学部中退。英・仏語からの各種翻訳に携わる。著書『オナニスムの秩序』(みすず書房、1982)。訳書アタリ『ノイズ』(みすず書房、1985)など。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「カニバリスムの秩序」の画像:

カニバリスムの秩序

「カニバリスムの秩序」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/432頁
定価 4,730円(本体4,300円)
ISBN 4-622-00448-8 C1010
1984年5月1日発行

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