みすず書房

「国語の中の漢語は、日本語語彙の大きな部分を占めるのであるが、これまでとかく、国語学の世界において軽視されてきたような気がしてならない。もう少し日本人は、漢語の問題に注視してよいのではないか。その思いが、この稿を書き続けた主要な動機なのである」(あとがき)

わたしたちはつね日ごろ、あまり意識しないで漢語をつかっているが、ちょっと気をつけてみると、その量はおどろくほど多い。本書は、日常における漢語使用を具体的にとりあげ、その意味と機能を明らかにしたユニークな「ことばの文化論」である。「的」の文化、禅文化にまつわる漢語、音訓混用語など、豊富な実例によって展開される本書は、日本語を考える人々に貴重な示唆を与えるにちがいない。

目次

1 「的」の文化
2 外来語としての中国語
3 禅文化にまつわる漢語
4 続・禅文化にまつわる漢語
5 呉音語と漢音語
6 擬態語の中の漢語
7 音訓混用語
8 国語漢語と中国語
9 漢語の「短絡語」

書評情報

円満字二郎
毎日新聞「この3冊・漢字の面白さを知る」2016年12月11日(日)