科学・人間・組織
みすず科学ライブラリー 45
科学・人間・組織

定価 | 1,650円 (本体:1,500円) |
---|---|
ISBN | 978-4-622-01345-7 |
Cコード | C1340 |
発行日 | 1974年7月20日 |
備考 | 現在品切 |

定価 | 1,650円 (本体:1,500円) |
---|---|
ISBN | 978-4-622-01345-7 |
Cコード | C1340 |
発行日 | 1974年7月20日 |
備考 | 現在品切 |
カピッツァは若くして英国に渡り、ラザフォードのもとで強磁場の発生と極低温の研究ですぐれた業績をあげたソ連の物理学者で、帰国後は、人的にも物的にも全く後進的な地位にあったソ連の科学・技術の研究・開発を指導、推進し、ソ連の科学・技術興隆の基礎をきずいた人の一人である。著者の名前が一般にもよく知られているのは、第二次大戦前後二度にわたって彼とソ連政府との間に起った悲劇的事件のためであろう。ケンブリッジで研究所を与えられ、才能を発揮している絶頂期にソ連にとどめられ二度と英国に戻れなかったこと、戦後核兵器の研究・開発への参加を人道主義的な立場から拒否して、五年間、公職や研究から離れなければならなかったのである。
本書は、主として著者が1950年代以後に行なった講演を集めたものである。四人の科学の巨人の講演では、巨人たちの人間としてのほほえましい逸話をまじえながら、科学と科学者のあり方、彼独自の視点に立って天才の資質を論じている。また研究組織論ではバナールの意見に反対し、上部構造への行政官の介入が官僚化に通ずることをいましめている。全巻を通じて科学の自由な国際交流と思想、言論の自由が特に強調されているが、それは彼が体験した悲劇、近年のソ連における反体制の思想家・科学者に対する迫害に彼が毅然たる態度を持していることなどを思いあわせると、まことに興味深い。
I 四人の巨人たち
ラザフォードの思い出
物理学者、社会活動家ポール・ランジュヴァン
フランクリンの科学業績
ロモノーソフと世界の科学
II 科学の将来
科学の将来
地球という名のわが家
III 科学の組織論
科学と技術の結合
物理問題研究所
科学研究の組織化の問題点
理論、実験、実践
科学研究の効率
科学技術の成果の実用化
IV 科学者の養成について
ラザフォードと若い研究者
研究所の老化をふせぐ
現代青年に対する創造性教育の若干の原則
V 論争への招待
論争への招待
情報の世界における人間
原子戦争をいかに防止すべきか
ピョートル・カピッツァ――訳者あとがきに加えて