みすず書房

先進社会の階級構造

THE CLASS STRUCTURE OF THE ADVANCED SOCIETIES

判型 A5判
頁数 400頁
定価 6,600円 (本体:6,000円)
ISBN 978-4-622-01698-4
Cコード C3036
発行日 1977年1月12日
備考 現在品切
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先進社会の階級構造

1968年のフランス5月革命や同じ年のチェコ事件など、現代史の巨大な出来事について、現代社会学が、何ら有効な説明をなし得なかったことは、著者にとって「社会学の危機」と感ぜられた。

かつて社会学が提出した階級理論は、18世紀以来、政治及び経済現象分析の力強い武器であった。いまやそれは無力化したのであろうか? 「脱イデオロギー」論や「テクノクラート」理論の流布は、かつての階級概念を、ヴィクトリア朝の建築物のような、無用にして栄光ある古物にしてしまったのであろうか? 著者は否と答える。

過大な期待と文献の混乱の現実から脱出するために、著者は一方において、マルクス、ウェーバー以来の遺産をたぐい稀れな透徹した分析力で把握し、鋭利な武器として磨きをかける。他方著者の大地を踏まえた足は、現代の工業文明によって新しい形態をととのえた「先進」社会の、資本主義国と共産主義国とを問わない、その現実から出立する。そして、その両者の交錯から導かれた理論的結実が本書である。

すぐれて問題的な社会学史ともいえる本書は、ケンブリッジ大学の若き俊秀の新著であり、世界各国に翻訳されて広く読まれている。社会学者ルイス・コーザーは本書を評して次のように言っている。「本書は現代における資本主義社会及び社会主義社会を共に分析するうえでの、階級理論の有用性を明らかにするだけでなく、階級概念の理論的究明を見事に果たしている労作である。本書は実際に読まれなければならず、現代の巨視社会学的診断に興味を持たない社会学者によっても、必ず読まれなくてはならない。」(Contemporary Sociology:A Journal of Reviews, 1975)