ビヒモス
ナチズムの構造と実際1933-1944
BEHEMOTH

判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 512頁 |
定価 | 8,800円 (本体:8,000円) |
ISBN | 978-4-622-01701-1 |
Cコード | C3022 |
発行日 | 1963年10月15日 |
備考 | 現在品切 |

BEHEMOTH
判型 | A5判 |
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頁数 | 512頁 |
定価 | 8,800円 (本体:8,000円) |
ISBN | 978-4-622-01701-1 |
Cコード | C3022 |
発行日 | 1963年10月15日 |
備考 | 現在品切 |
ビヒモスは旧約聖書のなかで、恐怖の支配を行う怪物の名である。ビヒモスは大地を、リヴァイアサンは海洋を支配し、世界の終末の間近かに再現するという。かつてアウグスティヌスは、ビヒモスを悪魔(サタン)とし、ホッブスはこの二つの怪物をそれぞれ書名とする本を書いた。ノイマンは書いている。「ナチズムは、国家であり、混沌であり、無法とアナーキーの支配であり、人間の諸権利と人間の威厳dignityを無にするものであり、世界全体を混沌に変貌しないではやまぬものであるから、まさに“ビヒモス”と呼ぶにふさわしい」著者は、ワイマール・ドイツで社会民主党員、著名な法学者ジンツハイマーの助手であり、またベルリンで弁護士であった。ナチ政権成立とともに亡命、アメリカにわたり、本書を出版した。(初版1942年、増補版1944年)、初版刊行のさい、A.ローゼンベルクは書評でつぎのように書いた。「最近ナチ関係書は洪水のように出るが、本書は後世に残る稀れな書物の一つとなろう。ノイマンはドイツについてのオリジナルな内部情報に通暁している上に、ナチの支配によって生じた新たな諸問題について、理論的な判断力を示している」と。どのような理由でワイマール共和国冷酷な全体主義独裁に追いこまれていったのか、という問題は、時代を超えて、われわれにも切実な関心をそそることである。
ビヒモスについて
序
第二版への序
序論 ワイマール共和国の崩壊
1 帝国
2 ワイマール・デモクラシーの構造
3 社会の諸勢力
4 組織労働者階級の衰退
5 反革命
6 デモクラシーの崩壊
7 仮りの要約
註
第一編 国民社会主義の政治型
国民社会主義イデオロギーの価値にかんする諸言
第一章 全体主義国家
1 反民主主義的憲法思想の術策
2 全体主義国家
3 政治生活の均制化
4 戦時における全体主義国家
註
第二章 党の反逆と「運動」国家
1 全体主義国家に対するイデオロギー的攻撃
2 三部構成的国家
3 党と国家
4 S・Sとヒトラー・ユーゲント
5 党とその他の役務
6 イタリアにおける党と国家
7 合理的な官僚制
8 機構としての党
註
第三章 指導者国家におけるカリスマ的指導者
1 総統の憲法上の機能
2 ルターとカルヴァン
3 魔法を使う君主
4 カリスマの心理学
註
第四章 人種的民族、カリスマの源泉
1 国民と人種
2 ドイツにおける人種差別論
3 反セム族主義諸理論
4 血の純化と反ユダヤ人立法
5 ユダヤ人財産のアーリアン化
6 反セム族主義の哲学
註
第五章 大ドイツ帝国
—生活空間とゲルマン的モンロー主義—
1 中世の遺産
2 地政学
3 人口の圧力
4 新しい国際法
ヴェルサイユの足枷を打破すること/新しい中立と正義の戦争/
ゲルマン的モンロー主義/民族集団対少数者団/人種的国際法と国家主権
5 大ドイツ帝国の範囲と性格
註
第六章 人種的帝国主義の理論
1 デモクラシーと帝国主義
2 金権主義に対抗するプロレタリアート的民族
3 社会帝国主義理論における似而非マルクス主義的諸要素
4 社会帝国主義の国粋主義的先駆者たち
5 ドイツ帝国主義
満ち足りた列強の帝国主義/「持たざる国」の帝国主義
6 社会民主党と帝国主義
7 人種的帝国主義と大衆
註
第二編 全体主義的独占経済
第一章 経済学なき経済か
1 国家資本主義か
2 国民社会主義の経済理論——協調体国家の神話
註
第2章 産業の組織化
1 ワイマール共和国における産業の政治的地位
2 国民社会主義時代の政治的な産業団体
集団/会議所/国家の行政機構/合理化の機構/原料統制/摘要
註
第三章 独占経済
1 所有と契約(経済と政治)
2 国民社会主義のカルテル政策
ブリューニング独裁とカルテル/詐欺師の追放/強制カルテル化/
軍備、戦争、カルテル/カルテルと集団
3 独占の成長
ア−リアン化/ドイツ化/技術変革と独占化/新産業の資金調達/
小企業の排除/会社組織/独占者は誰か
註
第4章 指導経済
1 国有化された領域
2 党の領域(ゲーリング結合企業)
3 価格統制と市場
4 利潤、投資および「金融資本主義の終焉」
5 外国貿易、アウタルキーおよび帝国主義
6 労働統制
人力の利用/生産性向上の闘い
7 結論
能率/利潤動機/構造/民主的計画化の失敗
註
第三編 新しい社会
第一章 支配階級
1 本省上級官僚制
2 党の階層制
3 官吏と党
4 国防軍と党
5 産業指導者層
6 農業指導者層
7 新支配階級の一つのモデルとしての大陸石油会社
8 支配階級の更新
註
第二章 被支配階級
1 国民社会主義党の組織原理
2 ワイマール・デモクラシーのもとにおける労働者階級
3 労働戦線
4 労働法
事業所共同体と事業所指導者/事業所/労働の名誉裁判所と労働裁判所
5 余暇の編制化
6 大衆支配の手段としての賃銀と所得
7 宣伝と暴力
8 国民社会主義の法律とテロ
註
ビヒモス
1 ドイツは政治理論を持っているか
2 ドイツは国家であるのか
3 この構造における発展傾向はなにか
註
増補
第一編 国民社会主義の政治型
第一章 戦時における全体主義国家
1 国家指導
2 政治的意向の形成
3 総検査官、管理官、および内閣
4 内務省
5 帝国の地域組織
6 統一、大管区制の浸透、および国防管理官
第二章 機関としての党
1 全国指導官
2 政府内の有力ナチ党員
3 大管区指導官
4 ドイツ国外における党
外国組織部/ヨーロッパ占領地域の党
5 党員数
第三章 ヒムラーの抬頭。警察とS・S
1 警察
秩序警察/治安警察と治安部
2 S・S
第四章 反セム族主義
第五章 大ドイツ帝国の範囲と性格
1 ドイツ支配下の領土の型——概観
2 軍政にかんするナチ理論
3 占領地域の行政的支配
均制化機関としての帝国内務省/合併領域と編入領域/併合および編入過程にある
領域/附属領域/占領領域
4 占領下ヨーロッパの収奪
政治的支配/経済的支配
5 占領下ヨーロッパとの協力を求めて
第二編 全体主義的独占経済
序論 1942年の改革と1943年9月2日の布告
第一章 統制機構
1 中央経済統制と軍備・軍需生産省
計画局/軍備・軍需生産省
2 国防軍最高司令部の国防経済・軍備局
3 四ヵ年計画局
4 直接ヒトラーに責任を持つ管理官
5 経済省
6 食糧・農業省
7 運輸、動力、建築の統制
8 産業自治
9 カルテル
10 全国連合(Reichsvereinigungen)
第二章 統制方法
1 原料統制
2 価格および利潤の統制
第三章 資本の集積
1 合理化
2 間引き
3 統合企業と法人会社
兵士はなりゆきを見守っている/新事態への順応性とそれに対処する能力
第四章 労働統制
1 最高統制機関
2 職業紹介所と労働管理官
3 ドイツ労働戦線労働会議
4 外国人労働
第三編 新しい社会
1 1939年の国勢調査による社会階層化
2 中産階級
3 官吏機構
4 司法部
5 支配階級
訳者あとがき
人名索引