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朱筆<品切>

出版月誌 1968-1978

著者
出版太郎

出版界のおりおりの話題にふれながら、月刊「みすず」に書きつがれてきた〈朱筆〉を編んでここに一書とした。1968年、奇しくも河出書房倒産の年に始った〈朱筆〉の十年は、業界に内在するさまざまの問題が露呈された十年であった。そして現在、〈本〉を書く・作る・売る・読むそれぞれの立場から、〈出版〉というものを根本的に捉えなおす動きが高まっている。ここにあたって、生起する現象に密接しつつ、全体的な目配りの確かさに裏付けられた本書の分析と批評は、よき手がかりを提供するであろう。
本書は、1968年以後の10年間を三つの時期に分けて考察する。1968-1971の
四年は、70年安保とその余波をめぐっての〈政治と出版〉の時期であった。ひきつづく1972-1976は、高度成長に浮き足立った〈出版の「産業」化〉の時代、そして1976年以後は大と小、マスとミニ、量産と手づくりなど〈出版界の分化現象〉が進行しているのである。
「この10年をふりかえってみると、出版太郎のささやかな小論〈朱筆〉は……そのときどきに小さな波紋をおこした一石であったのではないかと思う。……力あるものよりないものの立場で、大より小を、マスよりミニを優先して、表より裏に陽をあてて、ささやかな発言をしつづけてきたつもりである。そしてその10年間に、出版界は、出版太郎の立場とは逆に大が小を圧し、裏にはいっそう陽があたらなくなってしまったことも事実なのである。出版太郎は空しいとは思わないし、だからこそあきずこりず発言しつづけてきたのであろう。」
なお、巻末に資料として年表と索引を付した。


目次


I 政治と出版――70年安保につづく余波 1968-1971――
1 河出書房倒産に見る従組の姿勢
2 “軍国主義”調追放運動の矛盾
3 大学紛争と教科書の売れゆき
4 “暴力労組”への労使の対応
5 中公労組と言論自由問題
6 ブック・クラブは良書を普及するか
7 武田泰淳氏の芸術選奨辞退と各種の賞の問題
8 大安労組の権利停止は妥当か
9 出版統計と行政の介入の問題
10 アメリカに見る合併・吸収と日本への余波
11 書評は生涯の職業に値する
12 差別用語と「おわび」の風潮
13 出版社系週刊誌の現状
14 公安筋提供にたよる安易さ
15 ブック・クラブは新流通になりうるか
16 『創価学会を斬る』と大手取次の態度
17 再び『創価学会を斬る』と大手取次の態度
18 コンピューター印刷のおよぼすもの
19 出版妨害問題とヒモつき出版を考える
20 著作権法改正は真の改なのか
21 マスプロ・マスセルのいきつくところ――光文社労組の反乱
22 国家的著作権仲介機関は不可欠か
23 ブック・クラブと出版権の問題
24 国定教科書の復刻の意味するもの
25 ワイセツ物掲載と自己規制
26 三島由紀夫の死と出版権の確立の必要
27 児童読物のブック・リスト運動は悪書追放にならないか
28 公害企業より出版社の責任のほうが重い
29 「出版界のアウトロウ」問題
30 「本は売るものでなく、買ってくれる人を待つもの」(山本七平)
31 翻訳印税は適正に支払われているか
32 『出版ニュース』“出版時評”問題
33 郵税値上げを看過してよいのか
34 “学研商法”と消費者運動
35 マス・マガジン『ルック』の盛衰
36 ある時代の終り――『米書だより』の廃刊

II 出版の「産業」化――高度成長期 1972-1976――
37 『日本人とユダヤ人』と副次権の問題
38 印税は出版社・著作者の信頼のあかし
39 賃金要求も明日の出版に思いを馳せて
40 『不自由』の普通の人の視点
41 あるイタリア出版社社長の死
42 図書館白書『みんなに本を』
43 教科書編集者の抵抗の記録
44 消えた新刊『情況のなかへ』
45 ブック戦争の三者の言い分
46 読書感想文コンクールの弊害
47 賃金格差と小出版社の立場
48 下請プロダクション制と高収益・高賃金の関係
49 出版の海外文化交流への姿勢と問題点
50 著作権保護は長すぎないか
51 書協はサロンから脱皮できるか
52 『広辞苑』と「北鮮」なる用語
53 原稿料の問題――「この非文化的な現実」
54 『日本人の海外活動に関する歴史的調査』
55 出版統計と秘密保持の保障
56 日朝交流と公安調査官の介入
57 出版労協から出版労連へ
58 “第三次文庫ブーム”はマスプロ、マスセルの延長
59 石油危機と出版用紙
60 新規取扱い拒否と大手取次の責任
61 「未組織」「臨時」は賃銀だけの問題でない
62 取次による零細書店切り捨ての意図するもの
63 小野田元少尉の手記と総合出版社
64 ソビエト著作権協会(ヴァアプ)の注文
65 韓国で逮捕された日本人学生をめぐって
66 海外からの文化工作と出版社の自主性
67 小零細の出版物は駄本や類似出版物か
68 新聞社の出版活動に特別な意味があるのか
69 三省堂倒産と労組の立場
70 文庫かペイパーバックか
71 マスプロ・マスセルの「欠陥」を言いつづけること
72 図書月販会社の取引条件
73 中小出版社の定価と利益のあり方
74 下請プロダクション利用の実態
75 「用語タブーと禁句集」と選民意識
76 書評紙二紙の休刊
77 日共委員長“退廃文化”批判論争
78 国際出版連合第二〇回大会に望む
79 公取の再販実施状況の調査をまねいたもの
80 アメリカの業界誌に見る日本のBook lndustry

III 出版界の分化現象――大と小、マスとミニ、量産と手づくり 1976-1978――
81 “一人出版”によって支えられる側面
82 『これから出る本』に載らない本
83 “西谷節”の「憂い顔の説教」は不必要か
84 “高すぎる医学書”の公取の裁定はシロ
85 学術文庫と小出版社の出版権
86 国際出版連合日本大会の成果
87 韓国の検定教科書の単一準国定化と出版の自由
88 続・学術文庫と小出版社の出版権
89 〈現代史資料〉完結と立花論文
90 『ピノキオ』問題と表現の自由
91 『「風流夢譚」事件以後』と編集者の自分史
92 光文社争議解決後に問われるもの
93 アンケートに見る“出版労働者”の意識
94 マス・ジャーナリズム告発は空しいのか
95 日米文化産業の均質化
96 『出版戦争』と『出版レポート』の問題提起
97 『文芸年鑑』の「勇気ある発言」
98 返本率と“不扱い”の増加の意味するもの
99 『日本書籍総目録一九七七/七八年版』の刊行
100 “角川商法”は大手出版社の本音
101 折本業者のストをどう受けとめるか
102 異業種資本カタカナ出版社の進出
103 日本のノペライゼイション商法
104 二〇周年を迎えた出版労連
105 マス出版産業と出版社の差
106 「筑摩」挫折が露呈させた諸問題
107 出版産業における規模の問題――アメリカと日本
108 八重洲ブックセンターの開店と、出版界における「大」と「小」
109 高度成長的出版システムの問題点
110 出版物流通の文化的側面


著訳者略歴

出版太郎
しゅっぱん・たろう

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「朱筆」の画像:

朱筆

「朱筆」の書籍情報:

菊判 タテ218mm×ヨコ152mm/380頁
定価 2,200円(本体2,000円)
ISBN 4-622-01801-2 C3095
1979年4月5日発行
<ただいま品切です>