みすず書房

言語美学

POSITIVISMUS UND IDEALISMUS IN DER SPRACHWISSENSCHAFT

判型 A5判
定価 4,950円 (本体:4,500円)
ISBN 978-4-622-01980-0
Cコード C3098
発行日 1986年11月20日
備考 現在品切
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言語美学

ソシュールの《一般言語学講義》を世に先駆けて翻訳した訳者・小林英夫は、カール・フォスラーの美学にも深く傾倒した。鋭いコントラストをなしながらも、言語現象を隠された構造と動因から解き明かそうとするこの二人に惹かれたのである。
フォスラーの《言語美学》を、半世紀ぶりに再刊するにあたって、三宅徳嘉氏は〈あとがき〉で次のように述べている。〈ポスト構造主義の観点からソシュールが読み直されようとしている現在、精神の創造的形象化を考える上で、フンボルトとともに、その遺鉢をつぐわれわれの言語思想家〔フォスラー〕の鋭い直観と深い洞察に改めて立ち帰る意味は小さくない〉。
フォスラーは、人間のすぐれて精神的な活動である〈ことば〉を〈もの〉のように扱う実証主義者に、クローチェの美学をもって対決し、音・形態・統辞のあらゆるレベルに美的創造のはたらきを認めた。〈いかに微弱な人間の心にも、なおかつ独自の自由な言語の神のひらめきがある〉とは、彼の言語学的思索のライトモティーフである。かくして、彼の《言語美学》により、言語研究は文体論へと還元され、言語史は表現の歴史として文化史の一部門となった。