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物質文明・経済・資本主義 I-1

日常性の構造 1<品切>

LES STRUCTURES DU QUOTIDIEN: LE POSSIBLE ET L’IMPOSSIBLE

CIVILISATION MATERIELLE ET CAPITALISME XVe-XVIIIe SIECLE, tome1


『フェリペ二世の時代における地中海と地中海世界』(1949)の刊行から30年、アナル派の総帥ブローデルのこの間の蓄積は、豊かな肉づけと視野の拡大を伴ってこの全3巻の大著に結晶した。
本書の「序論」を読むと、その構想にまず驚かされる。経済学の出発点をなしたのは市場経済である。それは明瞭で透明とさえ言える、生産および交換のメカニズムある。しかし市場の下側には、基本的活動が行われる不透明地帯――物質生活ないしは物質文明――が広がっている。他方、市場経済の上方には資本主義の領域がある。この〈物質文明・経済・資本主義〉という三層構造をこの著作は検討するのだ、というのである。新しい歴史学をめざす著者ならではの大胆な構想ではないか。
長期的な時間の枠組でとらえる著者の歴史観は、従来の歴史学が見落してきた対象をも視野に収める。日常生活である。ここに刊行する『日常性の構造1』は、日常生活の内容をなす衣食住や人口を世界的規模で扱う。著者の目は時には太古まで遡り、また、小麦・稲・とうもろこしなどの栽植物が、それを作って生きていく人間集団にどのような影響を及ぼしたかを語ったくだりなどは、比較歴史学の面目をあざやかに示している。
本書には各巻150をこえる図版が収録されている。地図やグラフは議論を明確にし、世界中から集められた当時の絵は、本文の述べるところを具体的に示してくれる。テクストと図版とが有機的に一体化し、シャープな歴史の像を結ぶのである。
原書が全3巻で刊行された本書は、本訳書では各巻を2分冊とし、全6冊で刊行する。本書は人文科学と社会科学にたいし、新鮮な刺激の源泉でありつづけるだろう。



著訳者略歴

フェルナン・ブローデル
Fernand Braudel

1902年フランスのムーズ県に生れる。1923-32年アルジェリアで官立高等中学校の教員をつとめる。1932-35年パリの官立高等中学校に勤務、このころリュシヤン・フェーヴルに出会い、師事する。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
村上光彦
むらかみ・みつひこ

1929年佐世保に生れる。1953年、東京大学文学部仏文学料卒業。現在成蹊大学名誉教授。著書『大佛次郎―その精神の冒険』(1997)『鎌倉幻想行』(1986、以上朝日新聞社)『パリの誘惑』(1992、講談社)。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

竹田茂夫(法政大学教授)
<東京新聞「本音のコラム」 2016年1月21日(木)>

この本の関連書


「日常性の構造 1」の画像:

日常性の構造 1

「日常性の構造 1」の書籍情報:

菊判 タテ218mm×ヨコ148mm/512頁
定価 9,180円(本体8,500円)
ISBN 4-622-02051-3 C3330
1985年3月1日発行
<ただいま品切です>