医学的心理学史
A HISTORY OF MEDICAL PSYCHOLOGY

判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 464頁 |
定価 | 6,050円 (本体:5,500円) |
ISBN | 978-4-622-02200-8 |
Cコード | C3047 |
発行日 | 1958年10月10日 |
備考 | 現在品切 |

A HISTORY OF MEDICAL PSYCHOLOGY
判型 | A5判 |
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頁数 | 464頁 |
定価 | 6,050円 (本体:5,500円) |
ISBN | 978-4-622-02200-8 |
Cコード | C3047 |
発行日 | 1958年10月10日 |
備考 | 現在品切 |
この本の最大の特徴であり魅力であるのは、全巻を流れるヒューマニスティックな精神であろう。精神を病む者もまた人間であり、われわれの同胞だという、この簡単な事実を感じとり、すなおに認めるまでに、どんなに長い時がかかったことか。本書は、この歴史をまざまざと示してくれる。
よく紙一重というが「正常者」と「異常者」を分かつものは、それが物質的なメカニズムであれ、心理的なものであれ、まったくうすい紙一枚なのである。なぜわれわれでなく彼らが病んでいるのであろうか。考えてみるとこれは不思議なことである。彼らは、いわば、われわれに代わって病んでくれている、と言えないこともない。そして彼らは、自ら病み苦悩することによって、われわれの文化や思想に新しい深みと輝きを与えてくれたことさえ、歴史上少なくないのだ。
彼らの存在は、人間とは何か、人間の精神はどのように働くものか、というような本質的なことを暗示している。彼らを理解することによって、人間性についてどれほど多くのことが学べるであろうか。今後書かれる精神医学史が対決すべき事柄であろう。
本書にはユニークな生命力ともいうべきものがあり、これからも内外で読まれ、たびたび引用されることであろう。精神医療のあり方が問い直されつつある今日の日本で、本書の果たすべき役割は大きい。