みすず書房

臨床精神療法

KLINISCHE PSYCHOTHERAPIE

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 360頁
定価 7,150円 (本体:6,500円)
ISBN 978-4-622-02211-4
Cコード C3047
発行日 1968年7月 1日
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臨床精神療法

ガエターノ・ベネデッティは1920年、イタリアのカタニアで外科医を父として生れた。1945年に郷里の医学校を卒業し、1947年チューリッヒ大学の精神科の助手となり、ギエスターフ・バリー教授の教育分析を受けるかたわら、メダルト・ボスとバリーの指導していたゼミナールにも参加した。1951年から1952年にかけてアメリカに渡り精神病院、精神療法の研究所・施設を見学しローゼンの〈直接分析〉に心を惹かれた。1957年にバーゼル大学の精神衛生と精神療法の教授として招かれ、分裂病の精神療法に関する業績をのこしている。
精神療法をもっとも本質的な〈人間と人間の関係〉として捉えるならば、その歴史は、人類の歴史と同じ古い歴史をもつことになる。そこには、さまざまの興味ぶかい問題があるが、現代的な意味での精神療法ないし心理療法の通がひらかれたのは19世紀の末、フロイトとブロイエルのヒステリー研究以後のことである。しかしフロイトの扱った患者は主として神経症の患者であり、分裂病の精神療法という課題は後世にのこされた。
分裂病の世界は近づきがたく了解不能であるとされていたが、1920年代からしだいに分裂病の精神療法の機運が高まってきた。一つは臨床精神医学のなかから、一つは精神分析から、もう一つは精神分析に示唆を受けて生れてきた人間学的精神病理学の分野からである。
本書は「臨床精神療法」と題されているが、その主眼は分裂病の精神療法にある。ベネデッティは分裂病を極とする精神障害を〈自我衰弱〉として捉え、病者の成熟を待つ無理のない態度をその精神療法の中核においている。巻末のヴュングーの〈精神医学的看護〉とともに、わが国の現在の精神療法にとって示唆するところはきわめて大きいと思われる。