みすず書房

幼児期と社会 1

CHILDHOOD AND SOCIETY (REVISED EDITION)

判型 四六判
頁数 368頁
定価 3,740円 (本体:3,400円)
ISBN 978-4-622-02281-7
Cコード C1037
発行日 1977年5月30日
備考 現在品切
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幼児期と社会 1

「幼児期と社会」増補第2版(1963)は人間の生命過程について心理的な解釈を与えたものである。

こうした研究で、こんなに面白く、読みやすくまた説得的な研究はかつてなかったであろう。幼児期形成についての理論づけのスプリングボードとして使用される事例はいずれも興味深く、著者は身体的・精神的・社会的諸力の間の微妙なバランスとして人間の生命過程を説きあかす。人間の八つの発達段階についての忘れ得ない一章。アメリカ・インディアンの記録。アメリカ、ドイツ、ロシア人の性格の検討などは、この先駆的業績にたいし、真の古典のもつ永続的感銘の力を与えている。

「人文諸科学におけるヨーロッパ思想とアメリカ思想の二つから生れた、すばらしく生き生きした結実である。」(マーガレット・ミード)

本書は全2巻の中の第1巻で、幼児期と社会生活の様態、アメリカ・インディアンニ部族の幼児期、自我の成長などの章が含まれる。

目次

初版のまえがき
第二版のまえがき

第一部 幼児期と社会生活の様態
第1章 事例史の関連性と相対性
1 幼児の神経病学的危機——サムの場合
2 海兵隊員の戦闘危機
第2章 幼児性欲理論
1 二つの臨床的エピソード
2 リビドーと攻撃性
3 身体部位、様式および様態:A 口唇と感覚/B 排泄器官と筋肉組織/C 移動と性器/D 前性器性欲と性器性欲
4 性器的様式と空間的様態

第二部 アメリカ・インディアン二部族の幼児期
序論
第3章 大草原をゆく狩人たち
1 歴史的背景
2 ジム
3 異人種間のセミナー
4 スー族の子どものしつけ:A 出産/B 得ることと取ること/C 保持することと手放すこと/D 「女をものにすること」とものを作ること
5 超自然的なもの:A 太陽の踊り/B 啓示を求めて
6 要約
7 その後の研究
第4章 鮭の来る河に沿って住む漁民
1 ユーロク族の世界
2 ユーロク族の児童精神医学
3 ユーロク族の児童訓練
4 比較要約

第三部 自我の成長
序論
第5章 幼児期における自我の破滅——ジーンの場合
第6章 玩具と理性
1 遊び、仕事、成長
2 遊びと治癒
3 同一性のはじまり:A 遊びと環境/B ある爆撃手の息子/C 黒人の同一性
第7章 人間の八つの発達段階
1 基本的信頼と不信
2 自律対恥と疑惑
3 自発性対罪悪感
4 勤勉対劣等感
5 同一性対役割の混乱
6 親密対孤独
7 生殖性対停滞
8 自我の統合対絶望
9 漸成的図式

訳者あとがき
索引