みすず書房

数学の黎明

オリエントからギリシアへ

SCIENCE AWAKENING

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 440頁
定価 7,920円 (本体:7,200円)
ISBN 978-4-622-02468-2
Cコード C1041
発行日 1984年7月20日
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数学の黎明

古代ギリシア人が遺した最も美しいもの、それは疑いもなく彼らの芸術作品にちがいあるまい。だが科学技術の時代に生きるわれわれにとって最も重要なギリシア人の遺産は、精密科学=数学であろう。数学的精神の誕生とそれにもとづく科学の成果は人類文化史の単なる添えものではなく、まさにその主要な一章を占めるのである。
『現代代数学』、『群論と量子力学』等の名著によって現代数学の第一人者として知られる著者の手になる本書は、現代科学文明への批判を内に秘め、思想史や文化史における数学の見失われがちな意義を強調しつつ、一般読者のために、古代、特にギリシア数学史を展開した書である。
ユークリッドの『原論』にみられるギリシア数学の、あの感嘆すべき完全性、厳密性という美はいかにして生まれたか? エジプト、バビロニアに始まった数学が、ギリシア都市国家の日常生活やアレクサンドレイア、シュラクサの宮廷文化を背景に、哲学・思想・天文学と結びついて黄金時代を迎える過程がここに見事に描かれている。本書に生き生きと再現された古代の数学的創造の息吹きは、現代の数学者にも示唆するところが大きいであろう。

目次

日本版への序文
英語版への序文
まえがき

I  エジプト、バビロニアの数学
第1章 エジプト人
幾何学の「発明者」としてのエジプト人/リンド・パピルス/計算の技法/「アハ算法」/応用算術/計算技法の発展/或る高等科学に関する仮説/エジプトの幾何学/ギリシア人はエジプト人から何を学びえたか
第2章 数体系、数字、計算術
六十進法/シュメールの計算技法/ギリシアの記数法/六十進分数/インド数字/ジェルベールの計算盤
第3章 バビロニアの数学
バビロニアの代数/バビロニアの幾何/バビロニアの整数論/応用数学/摘要

II  ギリシア数学
第4章 タレスとピュタゴラスの時代
ヘラスとオリエント/ミレトスのタレス/タレスからユークリッドまで/サモスのピュタゴラス/サモスのトンネル/古代の測量機器
第5章 黄金時代
ヒッパソス/ピュタゴラス学派のマテーマタ/クラゾメナイのアナクサゴラス/アブデラのデモクリトス/キオスのオイノピデス/円の正方化/アンティポン/キオスのヒッポクラテス/紀元前5世紀の立体幾何学および遠近画法/デモクリトス/円錐と角錐/立体幾何学に関するプラトンの意見/立方体の倍積/キュレネのテオドロス/ヒッピアスとその円積曲線/発展の主流
第6章 プラトンの時代
タラスのアルキュタス/立方体の倍積/テアイテトス/クニドスのエウドクソス/メナイクモス/デイノストラトス/ピタネのアウトリュコス/ユークリッド
第7章 アレクサンドリア時代
サモスのアリスタルコス/アルキメデス『円の測定』/「弦の表」/アルキメデス/キュレネのエラトステネス/ニコメデス/ペルガのアポロニオス
第8章 ギリシア数学の凋落
凋落の外的要因/凋落の内的要因/アレクサンドレイアのパッポスの注釈書/亜流の数学者たち/三角法の歴史/メネラオス/アレクサンドレイアのヘロン/アレクサンドレイアのディオパントス/アレクサンドレイアのパッポス/アレクサンドレイアのテオン/ピュパティア/アテナイ学派——継承者プロクロス/インドロスとアンテミオス

訳者あとがき
索引