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相対性理論

THE THEORY OF RELATIVITY

著者
C・メラー
訳者
永田恒夫
訳者
伊藤大介

相対性理論が発見されてからすでに半世紀以上になり、したがってたくさんの古典的な教科書も出ているが、それにもかかわらず、Møller教授の新しい本が日本語に翻訳されたことは日本の学生にとって有難いことである。この本は他のものとくらべて、いろいろな特色をもっている。第一にできるだけ物理的な面をおもてに出すように書かれていることである。相対性理論の本によくある哲学過多や、物理の本か幾何学の本かわからないというような点がこの本には全くない。第二は初学者にも理解できるように大変に親切に、しかもすっきりと整理された形で全体が一貫していることである。記述が物理的であるという第一の特色と相まって、これはこの本のすぐれた点であると思う。第三は昔の本に時々あった行きすぎがこの本には全くないことである。物理学の幾何学化という画期的な試みが一般相対論であまりにも美事に成功したので、昔は、すべての物理現象をこの線にそって説明しようという、いわゆる統一場の理論に多くの人が魅せられて、昔の本ではよくこの種の試みに相当なべージがさかれていた。しかしその後、量子論や素粒子論の発展とともに、この種の試みは少くとも今の段階では見当がちがっていることがわかってきた。こういう新しい観点から、このMøller教授の本には、この種の確立されていない理論はすべて意識してはぶかれている。この点も初学者にとっては重要である。古い本を読んでこの統一場理論に誘惑される人が今でも時々あるからである。
要するにこの本は非常に教育的な、真の意味で物理的な、相対性理論の好教科書であって、これから理論物理をやろうとする学生のみならず、われわれも大いに啓発される本である。
(朝永振一郎)


目次


すいせんのことば  朝永振一郎
原著序

第 I 章 特殊相対性理論の基礎.歴史的概観
§1. 力学における相対性原理.Galilei変換
§2. 特殊相対性原理
§3. 平面波の位相の不変性
§4. 平面波を特徴づける諸量の変換
§5. Doppler効果
§6. 真空中における光の速度
§7. 屈折生媒質中における光の速度
§8. HoekおよびFizeauの実験
§9. Lorentzの電子論
§10. v/cについて1次までの効果に関する限り,エーテル理論と相対性原理が一致すること.Fermatの原理
§11. 光行差
§12. Michelsonの実験
§13. 短縮の仮説
§14. 相対性原理がすべての物理現象に対して成り立つこと

第 II 章 相対論的運動学
§15. 事象の同時性
§16. 同時ということの相対性
§17. 特殊Lorentz変換
§18. Lorentz変換の最も一般的な形
§19. 運動物体の短縮
§20. 運動している時計.時計の背理
§21. 粒子の速度の変換
§22. 逐次Lorentz変換.Thomas歳差
§23. 相対論における波を特徴づける諸量の変換
§24. 運動物体中における光線速度
§25. 相対性理論におけるDoppler効果.光行差.随伴現象

第 III 章 相対論的力学
§26. 粒子の運動量および質量
§27. 力,仕事,運動エネルギー
§28. 運動量エネルギーおよび力に対する変換式
§29. 双曲線運動.一定の地場内における荷電粒子の運動
§30. エネルギーと質量とが同等なこと
§31. 非弾性衝突.閉じた質点系の質量
§32. 相対性力学の実験的検証

第 IV 章 相対性理論の4次元的定式化:テンソル算法
§33. Lorentz変換の4次元的表現
§34. Lorentz短縮および動いている時計のおくれの4次元的な表わし方
§35. 4次元的定式化における自然法則の共変性
§36. 4次元の線素またはinterval. 4元ベクトル
§37. 4元速度と加速度.波動ベクトル.4元光線速度
§38. 4元運動量.4元力.質点力学の基礎方程式の4次元ベクトル形式
§39. 2階のテンソル
§40. 角運動量と力のモーメントの4次元的な表わし方
§41. 任意の階数のテンソル
§42. 擬テンソル
§43. Levi-Civita記号
§44. 対偶(dual)テンソル
§45. 無限小Lorentz変換と回転を伴わないLorentz変換
§46. 逐次Lorentz変換
§47. 任意の直線運動および等速円運動における粒子の逐次静止系
§48. テンソル場と擬テンソル場.テンソル解析
§49. 4次元空間におけるGaussの定理
§50. 各部分が互に作用を及ぼし合っていないような(incoherent)物質に対する力学の基礎方程式
§51. 運動エネルギー・運動量テンソル

第 V 章 真空中の電磁力学
§52. 真空中における電磁力学の基礎方程式.4元電流密度
§53. Lorentz変換における電磁力学の基礎方程式の共変性.電磁場テンソル
§54. 4元ポテンシャル.ゲージ変換
§55. 4元ポテンシャルの4次元積分表示
§56. 遅滞(retarded)ポテンシャル.点電荷によるLiénard-Wiechertのポテンシャル
§57. 一様な運動をしている点電荷の場
§58. 荷電物質に作用する電磁力
§59. 電磁力学の変分原理
§60. 電磁エネルギー・運動量テンソル
§61. 全エネルギー・運動量テンソル


第 VI 章 一般に閉じた系.男性的連続体の力学.場の理論
§62. 閉じた系の定義
§63. 閉じた系の4元運動量および4元角運動量
§64. 重心
§65. 弾性連続体内の力学の基礎方程式
§66. 弾性体の応力.運動量およびエネルギー密度の変換
§67. 完全流体
§68. スカラー中間子場,一般の場の理論

第 VII 章 閉じていない系.誘電体および常磁性体内における電磁力学.熱力学
§69. 閉じていない系の一般的性質
§70. 静的な閉じていない系
§71. 静電系.電子の古典模型
§72. 定常運動をする物体内の電気力学の基礎方程式
§73. 一様な運動をしている物体におけるMinkowskiの場の方程式
§74. 物質構造に関する式の4次元的表現.境界条件
§75. 電磁的エネルギー・運動量テンソルと4元力の密度
§76. 屈折性物体中における光波のエネルギーの伝播速度
§77. 定常運動をする物質における熱力学の法則
§78. 熱力学的諸量の変換性
§79. 熱力学の法則の4次元的定式化
§80. 単原子理想気体
§81. 黒体輻射

第 VIII 章 一般相対性理論の基礎
§82. 一般相対性原理
§83. 等価原理
§84. 一様に回転する座標系.一般相対性理論における時間と空間
§85. 非Euclid幾何学.計量テンソル
§86. 測地線
§87. 直接測定によって計量テンソルを決定すること.次元空間の幾何学
§88. 一般の加速系.許しうる最も簡単な時間・空間の変換
§89. 任意の準拠系における空間と時間の測定.函数ikを実験的に決めること
§90. 回転系における空間幾何学
§91. 自由粒子と光線の世界線
§92. 力学的重力ポテンシャル
§93. 重力場内を運動する時計の進み方
§94. 特定の準拠系内での座標変換
§95. 加速準拠系の他の簡単な実例
§96. 原点が任意の運動をしている変形しない準拠系
§97. X軸方向に運動する変形しない準拠系
§98. 時計の背理

第 IX 章 永久重力場.一般Riemann空間におけるテンソル解析
§99. 一般相対性原理および等価原理の4次元的定式化
§100. 4元ベクトルの共変成分と反変成分
§101. テンソル代数
§102. 擬テンソル.対偶テンソル
§103. 測地線.Christoffelの式
§104. 局所慣性系
§105. ベクトルの平行移動
§106. テンソル解析.共変微分
§107. 曲率テンソル
§108. 曲率テンソルの縮約型

第 X 章 物理現象に対する重力場の影響
§109. 重力場が存在する場合の自由粒子の力学
§110. 粒子の運動量と質量および重力
§111. 定常重力場における粒子の全エネルギー
§112. 粒子の一般力学
§113. 時間に直交する座標系.力学ポテンシャルの消去
§114. 連続系の力学
§115. 電磁場の方程式
§116. 電磁力およびエネルギー・運動量テンソル
§117. 静的な重力場における光の伝播,Fermatの原理

第 XI 章 一般相対性理論における重力の基本法則
§118. 重力場の方程式
§119. 弱い場の線型近似
§120. 弱い場に対する線型近似の簡単な応用.遠心力およびCoriolisの力の相対性
§121. 等価座標系,球対称な系
§122. 球対称な静的な系
§123. Schwarzschildの外部解
§124. 完全流体の内部に対するSchwarzschildの解
§125. 重力場に対する変分原理
§126. エネルギーおよび運動量の保存則
§127. エネルギーおよび運動量密度に対する別の表式
§128. 重力質量および孤立系の全エネルギーおよび運動量

第 XII 章 一般相対論の実験的検証.宇宙論的問題
§129. 重力によるスペクトル線のずれ
§130. 水星の近日点の移動
§131. 重力場による光の屈折
§132. 宇宙論におけるいろいろな模型
§133. Einsteinの宇宙
§134. de Sitterの宇宙

附録
1. Gaussの定理
2. 4元電流密度の変換式
3. 均質等方物質内における平面波
4. 特定の準拠境内での座標変換による重力場の量γικ, γι, χ, ωικの変換
5. 3次元空間の対偶テンソル
6. 空間が平坦である条件
7. 最小作用の原理と任意の重力場下の粒子のHamilton方程式
8. 時空世界の計量テンソルの行列式と3次元空間の計量テンソルの行列式の関係
9. 函数Σのgklnglmに関する導函数とこれらの導函数を含んでいる恒等式

訳者補足
訳者あとがき
事項索引
人名索引


著訳者略歴

C・メラー
Christian Møller

スウェーデン生れの理論物理学者。コペンハーゲン大学教授、原子理論物理学研究所研究部長をつとめ、素粒子物理学の分野で多くの有名な業績をのこしている。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
永田恒夫
ながた・つねお

1915年静岡県に生れる。1939年東京文理科大学理学部物理学科卒業。前筑波大学教授。訳書 G.オウエン『理工学のための数学入門』(1955、みすず書房)。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
伊藤大介
いとう・だいすけ

1918年新潟県に生れる。1947年東京文理科大学理学部物理学科卒業。前埼玉大学教授。著書『量子力学の考え方』(1971、河出書房新社)。訳書 ディラック『量子力学』(共訳、1969、岩波書店)ほか。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


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相対性理論

「相対性理論」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/408頁
定価 7,992円(本体7,400円)
ISBN 4-622-02508-6 C3042
1959年6月10日発行

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