みすず書房

〈まち〉のイデア

ローマと古代世界の都市の形の人間学

THE IDEA OF A TOWN

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 384頁
定価 7,480円 (本体:6,800円)
ISBN 978-4-622-03182-6
Cコード C3010
発行日 1991年3月22日
備考 現在品切
オンラインで購入
〈まち〉のイデア

高層住宅、緑地、図書館、網の目の交通空間、現代の都市は、つねに住居と余暇と労働と交通の有機的連関という点からつくられている。だが、ブラジリアを例にとるまでもなく、機能中心の〈人工都市〉は、人間の住まう空間とは言えまい。都市とは家屋と同様、本来人間がより大きな宇宙に繋がるための手段ではないか。身体的存在としての人間は、家—都市—宇宙を貫くコスモロジーの中で、ふさわしい場を棲み家とする生物ではないか。

かつて古代人たちが、まちや都市を象徴的なパターンと考えたように、建築史家である著者は、ローマを中心に、古代世界における都市の創建を丹念に掘りおこし、人間の棲み家としての〈まち〉のイデアを探ってゆく。

著者はまず、ロームルスとレムスの兄弟争いの末、レムスが殺されたという神話に、都市の起源の本質をみることから、筆をおこす。英雄はまちの中心に埋葬され、そこから道路や境界等々、まちが作られてゆく。古代インドのマンダラや中国、ボロロ族まで引照しながら、都市創建の基礎的部分には、機能をこえて、自然のリズムと人間、神と人間など、より大きな世界への枠組が埋め込まれていることが、次第に明らかにされるのである。

フロイトやレヴィ=ストロースにも言及しつつ、都市の表層から厚く覆われた深層にせまった画期的な都市論=神話論。現代都市を考える上で不可欠な一冊である。