認識問題 2-1
近代の哲学と科学における
DAS ERKENNTNISPROBLEM
判型 | A5判 |
---|---|
頁数 | 368頁 |
定価 | 7,040円 (本体:6,400円) |
ISBN | 978-4-622-03192-5 |
Cコード | C3010 |
発行日 | 2000年2月22日 |
DAS ERKENNTNISPROBLEM
判型 | A5判 |
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頁数 | 368頁 |
定価 | 7,040円 (本体:6,400円) |
ISBN | 978-4-622-03192-5 |
Cコード | C3010 |
発行日 | 2000年2月22日 |
ニコラウス・クザヌスに始まり、デカルト、スピノザ、啓蒙の時代をへて、ヘーゲル、アインシュタインまで、ヨーロッパ近代全体の思想や諸科学の場や意味を辿ろうとする『認識問題』全4巻は、その大胆かつ詳細きわまる試みによって、20世紀思想史上に屹立している。それは、ドイツの碩学カッシーラーの、まさしくライフワークであった。
原書第2巻の前半部をなす本書は、フランシス・べ一コンについての考察から始まる。全体の構成は「経験主義の起源」「合理主義の発展と完成」「経験主義の体系における認識問題」の三部から成り、べーコンを筆頭に、ガッサンディ/ホッブズ/スピノザ/ライプニッツ/チルンハウス/チャーベリーのハーバート/ディグビー/カドワース/ロック/バークリー/コリアー/ヒュームの各思想家が扱われる。そして、ニュートンからカントにいたる後半部に引き継がれるのである。
第四部 経験主義の起源
第一章 ベーコン
第1節 知性にたいする批判
自然と概念/知性批判/実験の方法的意義/経験と思考
第2節 形相理論
形相概念と法則概念/ベーコンの帰納の概念/イデアと偶像/基本諸概念の探究/「第一哲学」/自然学と天文学/運動の概念
第二章 ガッサンディ
知覚の理論/感性と思考/感覚的錯覚の説明/空間と時間/空間概念と物体概念の関係/原子論と運動の問題/自己意識の問題/デカルトおよびスコラ哲学と関係
第三章 ホッブズ
第1節
知の定義/方法論/演繹という認識理想/思考と計算/算術と解析
第2節
概念と言葉/定義の問題/普遍妥当的認識の可能性
第3節
空間と時間/概念としての物質と絶対的実体としての物質/知覚の理論/根本現象としての感覚
第五部 合理主義の発展と完成
第一章 スピノザ
第1節 『短論文』の認識論
受動としての認識/直観という基本概念/スピノザの自然概念とルネサンス/スピノザとカンパネッラにおける神の概念/数学的な自然概念と思弁的な自然概念
第2節 『知性改善論』
スピノザ認識論の倫理的目標/真理の基準/定義論・抽象と構成〔作図〕/認識の諸段階/「不変にして永遠なる事物」/幾何学的方法と自由問題/ホッブズとの関係
第3節 実体の概念——形而上学
汎神論のアンチノミー/実体概念と秩序概念/アリストテレスの実体概念との関係/現実存在の概念/実体と個物との関係/力の概念/「原因」と「根拠」/思考の秩序と存在の秩序/属性論/属性の無限性/思考という属性/魂の概念/スピノザの体系における知性の地位
第二章 ライプニッツ
スピノザとの関係/概念の分析と真理の分析/真理の概念
第1節
理性の真理と事実の真理/帰納の合理的基礎/アプリオリな認識とアポステリオリな認識/「普遍学」の構想
第2節
思想のアルファベット/論理学と結合法/新しいかたちの論理学/幾何学的記号法/観念と像/連続性の問題/無限なものの解析/無限小という概念/観念的な形式としての運動/連続性の原理/時間的な出来事の分析/力の概念/活力の保存
第3節
像とシンボル/数学におけるシンボル的認識/シンボル概念と尺度概念/第一性質と第二性質/現象と永遠の真理/現実的であることの基準/合理的な真理と事実の真理
第4節
個体の問題/絶対的知性の要請/単子論の体系/認識の諸段階/観念的統一としての調和
第三章 チルンハウス
方法論の基礎づけ/定義の理論/思惟可能なものの三つのクラス/真理の基準/論理学と物理学
第四章 イギリス哲学における合理主義
第1節
チャーベリーのハーバート/アプリオリなものと生得的なもの/共通概念の理論/ケネルム・ディグビー/魂が有する根本概念としての「存在」/知性と感性/意識の統一機能/判断の理論
第2節
プラトン主義——カドワース/観念と現実/英知的世界の概念/ジョン・ノリス/「永遠の真理」がもつ存在/感性と判断機能
第六部 経験主義の体系における認識問題
第一章 ロック
知性の限界規定/「生得的なもの」との闘い
第1節 感覚と反省
「単純なもの」という概念/要素の「結合」/無限性の問題/潜在的無限と顕在的無限/空間の問題/空間と物体の関係/時間の概念/時間と運動/数の概念
第2節 真理の概念
観念と像/認識の根本手段としての直観/直観と経験/ロックの「経験主義」の論理的性格
第3節 存在の概念
実体概念の批判/感覚的性質の「担い手」としての実体/実体の認識と経験的認識/ロックの認識批判の限界/観念と現実/「単純」観念の実在性
第二章 バークリー
第1節 知覚の理論
知覚の問題/視覚の理論/心理学的方法と物理学的方法/感覚のシンボル機能
第2節 観念論の基礎づけ
超越の問題/概念の理論/現実存在の概念/現象の現実性の定義/存在と知覚/絶対的物質の廃棄/記述と説明
第3節 バークリーの概念理論への批判
概念形成の過程における連合の役割/数学的概念/関係の概念/連合と論理的結合/対象の同一性/客観性の形而上学的基礎づけ
第4節 実体の概念
観念と概念/自我の概念/因果律
第5節 バークリーの認識論の変貌
理性と経験/記号の普遍性/感覚主義的認識論の克服/プラトンとの関係/数学と形而上学/バークリーとカントにおける「超越論的なもの」/「観念論」の二重の意味
アーサー・コリアー
超越の問題/無限なもののアンチノミー/空間の問題と神の問題
第三章 ヒューム
「自然の斉一性」/「抽象」概念の批判
第1節 数学的認識への批判
感覚的「観念」と数学的「観念」/数学の「虚構」/空間と時間/数学的「点」と感覚的「点」/数の概念
第2節 因果概念への批判
感覚内容の超出/「必然的結合」の問題/習慣の原理/ヒュームの「懐疑」の傾向と特性/蓋然性の概念/意識の機制/心理学的説明の限界/経験判断における価値区別/客観性の基準/印象と想像力
第3節 存在の概念
存在の問題/知覚内容の持続/知覚と現実/恒常性と整合性という基準/習慣の原理の克服/想像力の理念化作用/自己意識の同一性/ヒュームの懐疑の発端と終点
スコットランド学派——トマス・リード
「本能」の理論
『認識問題』全巻目次