パルナス
ピサのユダヤ人虐殺
THE PARNAS

判型 | 四六判 |
---|---|
定価 | 2,090円 (本体:1,900円) |
ISBN | 978-4-622-03341-7 |
Cコード | C1022 |
発行日 | 1990年5月11日 |
備考 | 現在品切 |

THE PARNAS
判型 | 四六判 |
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定価 | 2,090円 (本体:1,900円) |
ISBN | 978-4-622-03341-7 |
Cコード | C1022 |
発行日 | 1990年5月11日 |
備考 | 現在品切 |
「ピサの斜塔」で有名なイタリア・ピサに、パルナスと呼ばれる男がいた。パルナスとはユダヤ教の会衆長(信徒の中の指導者)の意である。彼はユダヤ教徒、キリスト教徒のわけ隔てなく経済的・精神的援助を惜しまず、人々の尊敬を集めていた。しかし彼は、その地位にふさわしからぬ動物恐怖症、特に犬恐怖症だった。
1944年夏、ピサを南北に分断するアルノ川を挟んでドイツ軍と連合軍が対峠する。ドイツ軍支配下の北岸にあるパルナスの家には何人かのユダヤ人が集まり、連合軍による解放の時を待っていた。息詰まる緊張の中で交わされる対話。突如ひびく玄関のベルの音。恋をしている隣家の娘のすすり泣き。終幕で天啓のように開示される動物恐怖症の意味。
著者のアリエティは、若き日にピサからアメリカに亡命した高名な精神医学者である。本書は故郷ピサの歴史とそのユダヤ人共同体についての貴重な証言であり、知られざる南欧系ユダヤ人(セファルディー)の生活と信条の吐露ともなっている。本書は、この事件の意味について熟考しはじめてから30年後に、「血とインクで」書かれた。それは、師のパルナスことジュゼッペ・パルドー・ロケスへのレクイエムともいえよう。