世界年代記
中世以来の歴史記述の基本形態
CHRONICA MUNDI

判型 | 四六判 |
---|---|
定価 | 1,650円 (本体:1,500円) |
ISBN | 978-4-622-03343-1 |
Cコード | C1020 |
発行日 | 1990年6月1日 |
備考 | 現在品切 |

CHRONICA MUNDI
判型 | 四六判 |
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定価 | 1,650円 (本体:1,500円) |
ISBN | 978-4-622-03343-1 |
Cコード | C1020 |
発行日 | 1990年6月1日 |
備考 | 現在品切 |
浩瀚な『ブルクハルト伝』(全7巻)を著したスイスの歴史家ケーギの珠玉のような小品である。本書は中世から19世紀までの歴史記述の特徴を捉えた3篇からなる。
中世人にとって歴史は始めと終りのある局限されたものだった。12世紀のフライジングのオットーは、アダムとエヴァの楽園追放と最後の審判を両端とする人類史を描く。天の国と地の国、永遠と無常、これらの対立・合同が基調となる。オットーにとって地の国の無常の象徴だったフォルトゥーナ(運命の女神)の歯車が、マキアヴェルリにはヴィルトゥの活躍の場である。彼は個々の民族におけるヴィルトゥの盛衰過程に注目した。セバスティアン・フランクにとっては歴史自体のなかに意味があった。それは歴史的汎神論ともいうべきものであり、19世紀のランケの歴史主義と結びつく。
ランケは、ヨーロッパの自由は独立自律の個性としての諸国民の均衡のなかにあるという。この思想をブルクハルトは維持しただけでなく、時とともにますます色あざやかに展開した。しかしランケが文化をもっぱら国家と教会の関連で扱ったのに対し、ブルクハルトは国家・教会・文化の自由な緊張関係のなかに人間の歴史に特有な風土をみたのである。
本書は幾世紀にもわたる歴史家の営みを眼前に展開し、歴史の内奥へと読者を誘う。