カントロヴィッチ
ある歴史家の物語
HISTOIRES D’UN HISTORIEN

判型 | 四六判 |
---|---|
定価 | 2,640円 (本体:2,400円) |
ISBN | 978-4-622-03364-6 |
Cコード | C1023 |
発行日 | 1993年12月24日 |
備考 | 現在品切 |

HISTOIRES D’UN HISTORIEN
判型 | 四六判 |
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定価 | 2,640円 (本体:2,400円) |
ISBN | 978-4-622-03364-6 |
Cコード | C1023 |
発行日 | 1993年12月24日 |
備考 | 現在品切 |
1963年に死去するやいなや、エルンスト・カントロヴィッチは記念碑となってしまった。彼の遺言は、身辺の書類すべてを破棄するよう命じていた。極端な秘密主義のために、彼の生涯については、ほんの僅かなことしか伝わっていないのだ。だが彼はすでに死の数年前に、自分の入るみごとな墓を用意していた。『王の二つの身体』と題されたこの著作が、以後、著者カントロヴィッチと同一視されることになるのである。
伝記の企ては、記念碑への誘惑を容易には断ち切ることができない。人間カントロヴィッチの全体は、かくしてユダヤ人としての、ドイツ人としての、あるいは知識人としての条件に還元されることになる。記念碑の性格として、訪問者に見学の条件を押しつけるというのも、また特徴的なことではあるのだ。
壮大な記念碑をめぐる質問を捨てて、物語を、カントロヴィッチをめぐり網の目のように交錯するいくつもの物語を見てゆくことにしよう。この歴史家のさまざまな物語へと分け入ることにしよう。