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チェルノブイリの遺産

THE LEGACY OF CHERNOBYL


人類史上最大といわれる産業事故――チェルノブイリ原発事故――の被害は想像以上に拡散した。影響はさらに深刻の度を増すだろう。しかし、正確にあのとき何が、なぜ起こったのか、そのすべてを語るレポートが、これまでにはなかった。本書は、旧ソ連の政治の内幕に精通し、同時に原子力開発利用の事情にも詳しく、ウラルの核事故を世界に知らしめた著名な生物学者が、経験と情報を駆使し、ドキュメントを収集し、あらゆる角度から分析をつくした最初の本である。

事故のあった4号炉の作業員も証言したように、あの大惨事はたんなる現場の過失ではなかった。ノルマ至上主義にはじまり、最終的には〈官僚制度の機能不全〉にいたる、構造的な問題が根幹にあった。その意味では、今世紀の科学の進歩と政治・社会の趨勢を象徴する出来事であろう。したがって、今後の原子力平和利用の問題を考えるためには、事故の全体を総合的に理解する必要がある。

本書は、現場付近の住民のかかえる具体的な問題の詳細、ヨーロッパ各国への直接的影響、地球環境と生態系の長期的変化、旧ソ連のエネルギー政策と今後のエネルギー危機までを重層的に論じ、われわれの要請に応えるものである。

一般読者にも専門家にも、貴重な基本図書になるだろう。


目次


緒言と謝辞

1 チェルノブイリ事故の事後検討
はじめに/チェルノブイリのRBMK1000型炉/設計上の問題点/不十分だった初期安全試験/事故の背景/大惨事/おわりに/追記 運転員の見解

2 「放射性」火山
はじめに/消火活動/国家非常態勢/炉心の2回目のメルトダウン/グラスノスチの最初の兆し/おわりに

3 環境への影響
はじめに/放射性核種の環境への放出量、構成と動態/環境汚染のレベルとパターン/放射能汚染の環境と生態系への影響、および汚染除去作業

4 農業への影響
はじめに/農地の汚染と損害/酪農への影響/その他の形態の農業と農村住民

5 ソ連国内における健康への影響
はじめに/事故現場での初動救急医療対策/現場以外での緊急医療対策/30キロ圏と第2次避難/一般民衆のための放射線防護/健康への長期的影響/おわりに

6 地球規模の影響
はじめに/北欧諸国/欧州中・東部/欧州共同体(EC)加盟国/世界のその他の地域/おわりに

7 ソ連の原子力計画
はじめに ソ連ウラン計画小史/RBMK型原子炉/加圧水型原子炉/高速中性子増殖炉/原子炉による地域暖房/原子力論争/おわりに

8 ソ連における核事故の歴史
はじめに/原子炉事故/記録に残っていない原子炉事故/キシュチュム核事故/おわりに

9 チェルノブイリ事故後の原子力
はじめに/エネルギーの分野でのソ連の選択肢/チェルノブイリ事故後のエネルギー危機/新世代の原子力発電所の将来性/おわりに

訳者あとがき
注・参考文献
索引


著訳者略歴

Z・A・メドヴェジェフ
Zhores A. Medvedev

1925年11月、ソ連トビリシに生まれる。チミリアゼフ農業科学アカデミー、ソ連科学アカデミー植物生理学研究所卒。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
吉本晋一郎
よしもと・しんいちろう

1927年鳥取県に生まれる。朝日新聞国際配信部記者、朝日イブニングニュース編集局長などを歴任。現在神田外国語大学などの講師。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

書評情報

小林和子<:週刊金曜日2011年4月22日号>

この本の関連書


「チェルノブイリの遺産」の画像:

チェルノブイリの遺産

「チェルノブイリの遺産」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/400頁
定価 6,264円(本体5,800円)
ISBN 4-622-03788-2 C1036
1992年10月22日発行

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