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インフォームド・コンセント

患者の選択

A HISTORY AND THEORY OF INFORMED CONSENT


医療のあり方が大きく変わろうとする今、「インフォームド・コンセント」というキーワードの理解が急務になった。
しかし実際には、想像以上に混乱があり、誤解がある。それはなぜだろうか。原因は、この概念がつくられた歴史的経緯が込み入っていることと。さらに、道徳、法律、医療など、アプローチによって捉え方が違うからだろう。この表現が生まれた米国においてさえ、法が想定するインフォームド・コンセントと、臨床医療の実績のあいだには、ながいあいだ隔たりがあった。
本書は、インフォームド・コンセントとは何か、その理論と歴史を、あらゆる角度から、しかもわかりやすく論じた、はじめての本である。
まず第一部で、この概念の基礎となる考え方を、道徳哲学と法律学の蓄積のなかから説明する。第二部は、インフォームド・コンセントの歴史。欧米の判例の積み重ねと米国の政策の発展を追ううちに、インフォームド・コンセントの輪郭がはっきり見えてくる。最後の第三部では、著者たちがみずからの立場を説明し、実質的なインフォームド・コンセントを達成するための条件をていねいに模索する。
この三部構成の本を流れるテーマは、ただ一つ、医師の「善行」に頼る考え方から脱し、患者の自律(自己決定)の条件をどう整えるかということだ。「依らしむべし、知らしむべからず」の感覚が、医療従事者だけでなく、患者の側にも深くしみこんでいる日本で、今もっとも切実なテーマがここにある。


目次


序文
謝辞

第一部 基礎となる考えかた
1 道徳理論の基礎
原則、規則、権利
道徳性の概念/諸原則による意味づけ/義務に相関する権利
三つの原則
自律性の尊重/善行/公正
道徳的原則と権利の比較評価
結論
2 法的理論の基礎
道徳原則と法的権利
コモン・ローと法理
責任論/開示要件/因果関係/除外例
憲法とプライバシー権
プライバシーの請求としてのIC/プライバシー訴訟の将来志向性
結論

第二部 インフォームド・コンセントの歴史
3 臨床医学のなかの見解と実践の解釈の問題
「同意」の歴史の解釈:このプロジェクトのある種の危険性
対立するふたつの歴史的解釈
ヒポクラテスから米国医師会にいたる綱領と論文
古代の医学/中世の医学/啓蒙期の医学/近代の英米医学/医学的善行主義の伝統
19世紀と20世紀初期の米国の医療
同意と拒否にかんする事例/秘密、善行的な嘘と自衛策
ICの到来
ICについて知らされるようになった時代:1917-1972年
新たな医学倫理の展開
結論:ほんとうは、なにも変わらなかった
4 同意と法廷:法理論の登場
法律の読みかた
20世紀以前の同意
18世紀後期の英国:スレーター判決/19世紀の米国の判例における暴行と医療ミス
20世紀初期の判例:基本的同意の誕生
シュレンドルフ以前の判例/シュレンドルフ事件/初期の判例がはたした役割
1917-1972年:同意は情報をともなうものになったサルゴ判決と暴行
ネイタンソン判決と過失
1972年―現在:ICの発展
カンタベリー判決/カンタベリー後:トルーマン判決
成文法の戦略
結論
5 研究倫理における同意要件の展開
生物医学における同意
ニュルンベルク綱領/ヘルシンキ宣言/有力な学術刊行物/諸事件をめぐる論争
行動科学における同意
心理学に綱領が生まれた/同意と欺瞞にかんする初期の論争/論争をよんだ事件と専門家の反応
研究行動における倫理的原則
結論
6 ヒトを対象にした研究にたいする連邦政策の発展
初期の連邦の認識:1962-1974年のふたつの厚生省機関
初期のNIH臨床センターの政策/FDA政策の形成
NIH政策の形成
その後の連邦の発展:ふたつの委員会と1974-1983年の新条例
生物医学・行動科学研究におけるヒト被験者保護のための国家委員会:1974-1978年/1981年米国厚生省の改定条例/医学、生物医学・行動科学研究における倫理問題研究のための大統領委員会:1980-1983年
結論

第三部 インフォームド・コンセントの理論
7 自律性の概念
自律性とIC
人間とその人間の行動の区別/自律的行動の段階
実質的な自律的行動
自律的行動の三つの条件
意図性の条件/理解の条件/非支配の条件
真正性は必要な条件か
熟慮のうえの受諾としての真正性/真正性の条件の再定式化の可能性
結論
8 ICの概念と能力
ICのふたつの概念
ICの分析/意味1 自律的権限付託としてのIC
意味2 有効な同意としてのIC/意味1と意味2の関係
同意する能力:門番役としての概念
法的能力の本質と段階/能力の概念の基準としての機能/心理学的能力、合法的な権限付託、自律的人間
結論
9 理解
理解と権限付託
実質的理解の基準
権限付託の行為の理解/権限付託する内容の理解
理解と開示の基準
通常の開示基準の不備/開示からコミュニケーションへ:理解の主観的基準/核心の開示と理解の共有:客観的基準/情報の留保/効果的コミュニケーションによる理解
コミュニケーションと情報の理解
言語、推理、背景となる知識の問題/危険と不確実性
情報過多、ストレス、病気の問題
実質的理解の確認
結論
10 強制、操作、説得
強制
強制の本質/脅威と報奨の申し出/抵抗性の主観的基準 「強制的状況」
説得
説得の本質 警告と予測 理由と正当とされる考え
自己説得
操作
操作の本質とタイプ 選択肢の操作 情報の操作
心理的操作 役割による制約の問題
結論


訳者あとがき
索引


著訳者略歴

ルース・R・フェイドン
Ruth R. Faden

ジョンズ・ホプキンズ大学準教授。健康政策、健康管理、行動科学、健康教育を担当する。同時にジョージタウン大学ケネディ倫理研究所主任研究員。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
トム・L・ビーチャム
Tom L. Beauchamp

ジョージタウン大学哲学教授。ケネディ倫理研究所主任研究員。

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
酒井忠昭
さかい・ただあき

1937年東京都に生れる。国際キリスト教大学、千葉大学卒業。東京都立駒込病院外科医長。同病院のターミナルケア・在宅医療担当を経て、現在ライフケアシステムのメディカル・ディレクター(在宅ホスピス担当)

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
秦洋一
はた・よういち

1940年高知県に生れる。国際基督教大学卒業後、朝日新聞社に入社。『モダン・メディシン』副編集長。調査研究室主任研究員、編集委員を経て、現在は医療ジャーナリスト。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「インフォームド・コンセント」の画像:

インフォームド・コンセント

「インフォームド・コンセント」の書籍情報:

A5判 タテ210mm×ヨコ148mm/408頁
定価 6,600円(本体6,000円)
ISBN 4-622-03794-7 C1036
1994年10月4日発行

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