みすず書房

アザンデ人の世界

妖術・託宣・呪術

WITCHCRAFT, ORACLES AND MAGIC AMONG THE AZANDE

判型 A5判
頁数 728頁
定価 13,200円 (本体:12,000円)
ISBN 978-4-622-03841-2
Cコード C3039
発行日 2001年1月5日
備考 現在品切
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アザンデ人の世界

アザンデ人は、アフリカのほぼ中央、ナイル川とコンゴ川の分水嶺にまたがるゆるやかな丘陵地帯に居住し、おもに焼畑農業を生業とする民族である。1937年に公刊された本書によって、人類学の分野においてはよく知られる存在となった。
人の生は吉凶禍福に満ちたもので死によって閉じられる——地上のどこでも誰でもわかっていることだ。が、とりわけ不幸がわが身を襲ったとき「なぜ・私が・それを・背負わなければならないのか」という問いが、強く切実に発せられる。この自問への答え方が、すなわち〈世界〉をどのように理解しているのか、を示すものとなる。
アザンデ人は複雑な妖術と託宣の信仰体系をもっているが、あえて単線的に言えば,死を含む不運を妖術に帰し、託宣で妖術師を告発し、呪術をもって対抗する。本書は、こうした妖術(マング)・託宣(ソロカ)・呪術(ングア)などの概念の分析を通じて、彼らの〈世界観〉を外部の人間に提示するものである。
「エヴァンズ=プリチャードは、人間が事象にいかにして意味を求めるか、思考の範囲はどのように限定されているのか、そして意味や思考や信仰は固定されたものでなく、状況や関係性に応じて可塑的なものであることを示そうとした。こうした姿勢は、その後の文化人類学と周辺の学問に多くの示唆を与え、各方面で議論が展開された」(訳者あとがき)。
すぐれた民族誌の古典であると同時に、人間の世界構築のあり方が、いかに独創的かつ多様であるかを教えてくれる貴重な論考である。