ハエ、マウス、ヒト
一生物学者による未来への証言
LA SOURIS, LA MOUCHE ET L’HOMME

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 200頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-03947-1 |
Cコード | C1045 |
発行日 | 2000年4月25日 |
備考 | 現在品切 |

LA SOURIS, LA MOUCHE ET L’HOMME
判型 | 四六判 |
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頁数 | 200頁 |
定価 | 2,860円 (本体:2,600円) |
ISBN | 978-4-622-03947-1 |
Cコード | C1045 |
発行日 | 2000年4月25日 |
備考 | 現在品切 |
本書は単なる科学解説書ではない。オペロン説の提唱者である著者は、ノーベル医学生理学賞受賞者として、また遺伝子革命の立会人として、現代生物学がたどった道を諄々と説いている。
しかし同時に、科学者の人間としての側面、科学と政治社会の関係に視線を注ぐことを忘れない。かくて随所に、交友関係のおもしろいエピソード、ちょっとした秘話が織りなされることになる。予見不可能性という条件下にある人間社会が、いかに偶然性に左右されつつ、しかし執拗に知を求めてきたかの証拠であり、著者はそこにどのような問題がひそんでいるか、人間のよろこびと悲しみ、偉大と悲惨が、日常と非日常、公と私の世界の狭間でどのような劇を演ずるか、そしてさらに、そのような人間の条件が、地球文明の将来とどのように本質的に関わりあっているかを、曇りのない目で見つめて直截に語っている。
ここには、ゲノム解読計画の急速かつ一方的な進展を前にして、ヒトのクローン誕生の現実化を危惧しつつ、明確な展望をもちえない私たちが耳を傾けるべき、ヨーロッパのもっとも良質な知性による率直な意見がある。科学者の誠実がいまほど必要とされる時がないとすれば、本書には、その稀なすがたが見られるといってよい。