みすず書房

確実性の終焉

時間と量子論、二つのパラドクスの解決

THE END OF CERTAINTY

判型 A5判 タテ210mm×ヨコ148mm
頁数 216頁
定価 4,730円 (本体:4,300円)
ISBN 978-4-622-04108-5
Cコード C3042
発行日 1997年11月20日
備考 現在品切
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確実性の終焉

時間こそは我々の存在の根本的な次元であるのに、奇妙なことにニュートンによって定式化された自然の基本法則は、「時間の矢」を否定するものであった。それが記述するのは、未来も過去も同じ役割を演じる、時間の欠如した決定論的な宇宙である。今世紀における物理学上の2つの革命、量子力学と相対性理論も、この状況を変えることはなかった。
しかし今や我々は、残された課題である時間と量子論、2つのパラドクスの解決という根本的変化を目撃しつつある。プリゴジンの『存在から発展へ』、『混沌からの秩序』を継ぐ本書が指し示すのは、近年めざましい発展を遂げた非平衡過程の物理学と不安定系の動力学に基づいて、揺らぎやカオスを導入することによって、自然法則の新しい定式化が果たされるということである。そこでは自然の基本的レベルにおいて、時間の流れが導入され、確実性ではなく可能性が、進化発展しつつある宇宙が記述されるに至る。
我々はなぜ自然が歴史をもつかを理解しはじめた。「確実性」は終わり、現実世界の「複雑性」と取り組む21世紀の新しい科学が、ここにその姿を現し始めた。それは、自然という概念や、自然の中での人間の位置に関心をもつ全ての人々にとって、画期的な事態に違いない。

目次

謝辞
著者序

導入——新しい合理性?
I エピクロスのジレンマ
II 幻にすぎない?
III 確率から不可逆性へ
IV カオスの法則
V ニュートンの法則を超えて
VI 量子論の統一的定式化
VII 自然との対話
VIII 時間は存在に先行するか?
IX 隘路


術語集
訳者あとがき
索引

書評情報

米沢富美子(物理学者)
文芸春秋デラックス
米沢富美子
朝日新聞「思い出す本 忘れない本」2014年8月10日