みすず書房

水の音楽 電子書籍あり

オンディーヌとメリザンド

判型 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm
頁数 264頁
定価 3,300円 (本体:3,000円)
ISBN 978-4-622-04267-9
Cコード C1073
発行日 2001年9月21日
電子書籍配信開始日 2013年4月 1日
備考 現在品切
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水の音楽

ラヴェルの『夜のガスパール』から第一曲「オンディーヌ」を弾き終わったとたんに、先生から「もっと濃艶に歌って弾くように」と注意された。でも、この曲を高踏的に、人に媚びず、自身の美しさで聴くひとを惹きつけずにはおかないように弾いてみたい。あたかもドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』のヒロインのように。
「この世にことさら男を誘う女と誘わない女の二種類がいるとすれば、明らかにオンディーヌは前者であり、メリザンドは後者である。(…)水の精とはどういうものなのか、オンディーヌはその中でどの部類に属するのか、音楽は彼女たちとどうかかわっているのか、ドラマ『ペレアスとメリザンド』は水の精の物語とどのようなつながりがあるのか。」(プロローグより)
この主題をめぐる逍遥はギリシャから中世をへて19世紀末にいたる。水のイメージと「ファム・ファタル(宿命の女)」の観念が結びついたとき、絵画、文学、音楽で続々とあらわれるヒロインたち。それを語る著者の筆致は颯爽として才気あふれる。

著者からひとこと

書籍版とCD版「水の音楽」の同時発売。音楽界と出版界の温度差や、男女の性差など、いろいろな意味で反応の違いを実感したプロジェクトだった。

記念コンサートでは、インタビューの機会も沢山あった。音楽畑の人には文学や絵画 のことが専門的すぎるし、文学畑の人は演奏のことがわからないし、いったい誰が読むんですか、などと言われたりもしたが、総じて女性の聞き手は、「網をはる」「ひきずりこむ」など、水の精の誘惑の方法別の分類を楽しんで下さったようだ。その意味でも、書評がほとんど男性陣に限定されてしまったのは残念。

演奏解釈にかかわるテーマ設定で、本当は音楽専門家にしか論の是非は判定できなかったはずだが、むしろ、一般メディアや文学関係に深く読み込んだ書評が多かったように思う。

私のピアノ演奏は色ッぽいという人と色気がないという人にわかれるが、今度の本についての感想も同様で、このあたりはセンサーの問題か。(2002年1月 青柳いづみこ)