みすず書房

傑作長篇小説『舞踏会へ向かう三人の農夫』で、現代アメリカ文学界に驚くべきデビューを果たした、若き天才作家リチャード・パワーズ。絶賛を博したこの処女長篇以後も、彼はそのずば抜けた知性と絶妙の語り口に磨きをかけつつ、太平洋戦争、DNA、人工知能、資本主義など、刺激的かつ根源的なテーマに斬新なアプローチで取り組み、新世紀のアメリカ文学を先導する最重要作家の名をほしいままにしている。

これまでにないスケールを感じさせるパワーズの傑作群は、今後もみすず書房から翻訳刊行していく予定だが、彼のブリリアントな文学世界の全貌を日本の読者にいち早く伝えるべく、アメリカ文学最良の案内人・柴田元幸が、腕によりをかけて編集したガイドブックが、本書『パワーズ・ブック』だ。豪華メンバーによる刺激的な論考、最新インタビューなど、盛り沢山の楽しい一冊。

目次

編者のことば
高橋源一郎  「正しさ」の前線を下げよ
伊藤俊治  世界のねじれの影のなかから
リチャード・パワーズ/スヴェン・バーカーツ  対話 二つの弧が交わるところ
坪内祐三  その農夫たちの「まなざし」が気になって
佐伯誠  かれらとともにぬかるみを歩いて
若島正  『黄金虫変奏曲』をめぐる変奏曲
J・ハート(坂野由紀子訳)  語りの力
柴田元幸  『舞踏会へ向かう三人の農夫』小事典

リチャード・パワーズ 全作品案内
『舞踏会へ向かう三人の農夫』(柴田元幸)
『囚人のジレンマ』(若島正)
『黄金虫変奏曲』(前山佳朱彦)
『さまよえる魂作戦』(柴田元幸)
『ガラテイア2.2』(手塚聡)
『ゲイン』(佐久間みかよ)