みすず書房

英米文学のなかのユダヤ人

判型 四六判
頁数 384頁
定価 4,620円 (本体:4,200円)
ISBN 978-4-622-04599-1
Cコード C1098
発行日 2001年2月9日
備考 在庫僅少
オンラインで購入
英米文学のなかのユダヤ人

本書が扱うのは、英米文学の一部門であるユダヤ系作家の文学ではない。英米の非ユダヤ系作家・詩人の作品において、どうのようなユダヤ人像が描かれてきたか。

イギリス文学では、チョーサー、マーロウ、シェイクスピアから、スコット、ディケンズ、G. エリオット(『ダニエル・デロンダ』)ら19世紀作家を経て、現代のT. S. エリオット、パウンド、ジョイスに至るまで、アメリカ文学ではロングフェロウ、ホーソーン、メルヴィル(『クラレル』)からヘンリー・ジェイムズ、マーク・トウェイン、ウィラ・キャザーを経て、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、フォークナーに至るまで、それぞれのユダヤ人像を紡ぎ出している。

「ある作品の中で反ユダヤ的(もしくは親ユダヤ的)メタファーがどのように機能しているか推察すれば、その作者の人間観、社会観からパーソナリティーの基底部に迫る端緒を開けるかもしれない。」歴史的過程を鳥瞰するのではなく、個々の作品の表現に心理的分析を施すことにより、より精密な作家論ともなった本書は、英文学とユダヤ学ともに通じた著者ならではの、貴重な著作であると言えるだろう。