E.M.フォースター
ブルームズベリー叢書
E.M.FORSTER

判型 | 四六判 |
---|---|
頁数 | 288頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-04635-6 |
Cコード | C1098 |
発行日 | 1997年11月10日 |
備考 | 現在品切 |

E.M.FORSTER
判型 | 四六判 |
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頁数 | 288頁 |
定価 | 3,080円 (本体:2,800円) |
ISBN | 978-4-622-04635-6 |
Cコード | C1098 |
発行日 | 1997年11月10日 |
備考 | 現在品切 |
「私にとってE・M・フォースターは、何度も読み返せる唯一の現存作家であり、読み返すたびに、何かを学んだという気持ちにさせてくれる作家である。そういう作家はそうめったにはいない」(「序論」)。
フォースターは本質的にはっきりしない作家である。読者はそのユーモアと諷刺を愉しみながらも、読後、なんとなくさっぱりしない気持ちになる。なぜなのか? トリリングはこの問いに対して、フォースターの人物造型と小説作法の底に〈善でもあり悪でもあるもの〉に対する深い認識があるからだと答える。どの登場人物も二重、三重の顔をもっていて、しかも小説は明確な結論を示してくれない。しかし重要なことは、小説において「問題点が示され、思索が展開された」ということである。トリリングはフォースターの作品を、初期の短編群から『インドへの道』までとことん読み抜くことで、この複雑な顔をもった小説家の本質をみごとに剔出している。「フォースターは恐怖と空虚——意志が自分自身の行き過ぎのために疲れたときに攻撃を開始してくる恐怖と空虚——を撃退すべく、アキレウスの楯——すなわち芸術の道徳的知性——を差しだす芸術家のひとりなのである」(「精神と意志」)。