みすず書房

ヨーロッパ文学評論集

KRITISCHE ESSAYS ZUR EUROPAISCHEN LITERATUR

判型 A5判
定価 6,380円 (本体:5,800円)
ISBN 978-4-622-04686-8
Cコード C1098
発行日 1991年7月8日
備考 現在品切
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ヨーロッパ文学評論集

「いうまでもなく批評とは常に一つの冒険である。評価の根拠を示すことはできない。根拠は確かにあるのだが、しかしそれは直観として存在するにすぎない。直観は電光のように関過しもしよう。それは人に伝えうるものではなく、ただ媒介しうるのみである。批評の実はここにある。批評は創造的な自由な精神の一つの営みである。むろん直観を後から動機づけることはできる。しかしこの動機づけなるものも、ただ共感する者のみの信を博するに留まる。批評の基本的な行為は非合理的接触である。真の批評は証明をこととしない、それは指示することのみに甘んじようとする。精神の世界は親和力の系列に従って分類される、という信念が、批評の形而上的な背景をなしている。」(「T.S.エリオット」)
本書は、記念碑的な大著『ヨーロッパ文学とラテン中世』の姉妹篇ともいうべき、もっぱらヨーロッパの現代文学を扱った評論集である。ゲーテ、ホーフマンスタールからオルテガ・イ・ガセット、T.S.エリオット、ジョイスに至る文学者を精細に分析した27篇は、余人の追随を許さぬ、この碩学の想像力と論理をみごとに証している。現代ヨーロッパの文学世界と知的伝統を理解するのに恰好の書。