みすず書房

「昔ブレイクのいたことも、ときどきは憶い出そう。薔薇の赤と黄を愛そう。そして悲しみつづけよう。ときにまだのこる冬の冷たい風に吹かれよう。」

『何処へ』『ウイリアム・ブレイクを憶い出す詩』『私有制にかんするエスキス』の三詩集(抄)と長篇詩「プロテ」を収録する。
西脇順三郎の詩的ワールド——「そこはやわらかく、風が吹いて、安らいでいた。人間の持っているもっともよい文明がそこにあった。それは〈哀〉なのか〈諧謔〉なのか、一口には言えないが、こちらの息をしやすいようにしてくれる詩が、そこにあった。」『田園に異神あり』は、著者が鐘愛する詩人のユニークな詩的世界をゆったりと散策し、その魅力を語り尽くした長篇作家論である。さらに、主要な「瀧口修造論」と吉岡実・加藤郁乎・土方巽などを論じたエッセーを収める。全5巻。

目次

I 詩
何処へ(抄)
何処へ/サンダウン/1956年10月11月
ウイリアム・ブレイクを憶い出す詩(抄)
カナンの地/ウイリアム・ブレイクを憶い出す詩
私有制にかんするエスキス(抄)
私有制にかんするエスキス/プロテ

II 田園に異神あり 西脇順三郎の詩
第1章 雪のイメージと生垣の発見 1946-1960/第2章 川と考える水としての人間 1961-現在/第3章 テラコタの夢と知れ 1924-1933
西脇順三郎への回流 晩年の西脇さん

III 瀧口修造へのオマージュ・一人の舞踏家と戦後の詩人たち
シュルレアリスム詩論序説/ランボーとその後に来たもの——小林秀雄と瀧口修造/詩のイメージ/ファタ・モルガナ/デュシャン語録のエスキス/葉末の神々への手紙/わが詩の擁護——安東次男の詩をめぐって篠田一士に/『薬玉』のこと——吉岡実/東北の暗黒世界での秩序と美——土方巽「四季のための二十七晩」/加藤郁乎の詩は徹底的に役に立たない——『形而情学』評 /加藤郁乎句集『江戸櫻』

作品ノート