みすず書房

この巻には、詩人の〈現在〉を鮮烈に浮かび上がらせる未刊行詩集『カンシャク玉と雷鳴』を一挙に収録する。

また『冬の幻』は、著者の敬愛するシュルレアリスト詩人・瀧口修造をモデルにした連作短篇集である。詩人の深部にわだかまる戦争の傷痕を等身大の経験として受けとめ、その内実に迫り、故人を包み込むようにして描いた、一種のレクイエムである。

掉尾を飾る長編『暗殺百美人』は、亡き中村真一郎によって、この国で初めて成功した〈超現実的小説〉と絶賛され、「ドゥ・マゴ文学賞」を受賞した傑作である。

戦後詩を先導した詩人の文業、全5巻完結。

目次

I 詩
未刊新詩集・カンシャク玉と雷鳴(全)
カンシャク玉と雷鳴/洪水/抱き合う男女/友だち/油滴/酒海壺/電線の空也

II 連作短篇集・冬の幻
熱狂/四本足の鶏の話/梅雨の入り/遠い傷痕/主のない家/冬の幻
あとがき

III 長篇小説・暗殺百美人
序章/1/2/3

作品ノート
自筆略々年譜