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外山滋比古著作集 3

異本と古典


「古典」とはいったいどういうテクストをいうのか? また、古典はいかにして生まれるのか? 教科書に載っているのはだいたいがいわゆる「古典」であり、「古典文学全集」などというものもある。しかし正面切って、「古典とはなにか? それはどうしてできるのか?」と問われたら、だれしも答えに窮するのではないか。これは従来の文献学的な研究法ではラチのあかない難問である。

「作者は作品を書く。しかし、古典を書くことはできない。作者の手もとをはなれたときすでに古典になっているという作品はかつて存在しなかった……それでは、古典はいったいだれがつくるのか。作品を読み、鑑賞する第三者である」。

すべての読者はテクストを読むことによって異本をつくり、それが時間の経過のなかでやがて収斂し、古典を形成する。このプローセスは翻訳・校正・シェイクスピア・連句などの分析によってスリリングに例証される。

『修辞的残像』によって〈読み〉の構造を明らかにし、ついで『近代読者論』において〈読者〉の地位を定立した著者は、この『異本と古典』のなかで〈古典成立〉のメカニズムを解明する。眞にオリジナルな〈外山学〉がここに完結することになる。

日本語論・俳句論・エッセイなどを自選・集成した全8巻の著作集、最終回配本。


目次


 I 異本論
読者の視点/コピー/異本の収斂/ノイズ/移り変わり/排除性/異本の復権/自然の編集/文学史の問題/時間と空間/一斉開花/古典への道
 II 古典論
はしがき
1 典型化の過程
湮滅/風を入れる/伯楽/伝承/ガリヴァーとアリス/日記文学/冬眠/シェイクスピアの変容/翻訳/俳句・連句/読み替え/演劇化/鑑識
2 異本化の作用
変奏/引用/読む/お気に召すまま/校正の思想/編集/慣用の意味/読者の地位/諸説紛々/選集/ヴァージョン
3 古典化の原理
排除性/批判原理/視点/解釈/遡行現象/加上の作用/抜群・改良/増補
 III 虚構について
非日常的/よそごと/手紙・日記/読者/ミメーシス(模倣)/読みの虚構/フィクションのおもしろさ/虚実の間/古典/世界文学の理念
 著作ノート
 年譜・書誌


著訳者略歴

外山滋比古
とやま・しげひこ

1923年愛知県に生まれる。1947年東京文理科大学英文科卒業。同大学特別研究生修了。1951年「英語青年」編集長。ついで「英語文学世界」「月刊ことば」を創刊、編集。 ...続きを読む »

※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

この本の関連書


「異本と古典」の画像:

異本と古典

「異本と古典」の書籍情報:

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm/360頁
定価 3,960円(本体3,600円)
ISBN 4-622-04853-1 C1395
2003年3月24日発行

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